柱と番人_1(※サークリット視点)
投降しろ、とこの段になっても慈悲を見せるサークリットを
バジルクはふっと馬鹿にしたように笑った。
「分ってないなぁ」
その言葉に顔を顰めたサークリット。
だが、バジルクがパチンッと指を鳴らすと、台座の回りを火が取り囲む。
やめろっ、と叫んだサークリットの声は同じく叫んだ周りの怒声に紛れた。
ニっ、とバジルクはそんなサークリット達に余裕の笑みを見せる。
「あんたらは絶対的に劣勢なんだよ?
・・・・・・彼女が、俺たちの手の中にある限り・・・・・・
だから、そこから動かないでね?」
殺しちゃうよ?、と食えない笑顔を浮かべながら、
パチンッとまた、バジルクは指を鳴らす。
火の海は消えたが、サークリットの怒気は膨れ上がっていた。
「・・・・・・紫音に傷一つつけてみろ・・・・・・
貴様を、いや、リョク一族をウードランド毎、根絶やしにしてやるからなっっ」
ウードランドで術者と呼ばれる者たちが実はリョク一族である事も
サークリットは先の書物で知っていた。
もう、ウードランド王家の者さえ忘れているソレを
その言葉で知っていると気付いたのだろう。
バジルクや術者の数名が驚いたようにサークリットを見た。
そして、初めてバジルクは胡散臭い笑みを消し、ジッとサークリットを見た。
「・・・・・・あんたは見込みがありそうだね・・・・・・
なら、あんたに託そう。この世界の未来を。
そして、本当に、彼女を救うべきかを・・・・・・・・」
当たり前だ、と怒鳴ったサークリットに、バジルクは
全ての話を聞き終えてから、同じ質問をするから、といい、話し始めた。
そして、そこでバジルクによって明かされた真実は
サークリットが知っているそれを上回る、最低な事実だった。




