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アドリアン_5

そして、ついに、暗殺者が送られるようになっても、

国王も王妃も動かず、あくまで中立、静観の姿勢を貫いている。


その態度こそが、反対派に大きな大義名分を与えると知っていて、

国王達は動かない。


この、誰も成しえなかった、

いや、成そうとすら考えなかったこの難事をどう乗り切るかで、

国王達はサークリットを見定めようとしているのだと思う。


シオンの身を護れないのは論外だが、

サークリットが身の危険に怯んだり、途中で困難に押し負ければ

国王達は和平協定ごとサークリットを葬るつもりなのだろう。


もちろん、サークリットも国王達の思惑を知っている。


知っていてもなお、鉄の意思でまっすぐサークリットは突き進む。


その背を見て、アドリアンもまた、決めたのだ。


大好きな二人の未来を、ようやく訪れた平穏を崩そうとする者がいるなら、

アドリアンは何をしてでも、排除する、と。



アドリアンには戦争経験はまだない。


魔物は星の数程、倒してきたし、

盗賊退治などでもちろん、人に手を掛けた事はあるが、

今回のような敵兵、しかも、伍竜家の一つであるリョク一族に

刃を向けるというのは初めてだ。



畏れがない訳じゃない。


創世の竜と同様に、伍竜家への敬愛がこの世界の人間には根付いている。


特に、竜騎士となる者はそれが強い。


だから、今回の敵が伍竜家の一つ、リョク一族と先ほど聞いて、

浮足立っている竜騎士も多い。


そういうアドリアンにだって、

もちろん、未だに迷いや戸惑いが胸中を燻っている。



だが、それでも、

リョク一族が何かしらの理由と信念を持って、シオンを攫ったと同じように

アドリアンにも譲れないモノがある。


そのためなら、たとえ、敬うべき、伍竜家(リョク一族)だろうが、

この手に掛けることを躊躇うつもりはない。


敵に僅かな慈悲すら与えず、殲滅し、

国のために万の敵に呪われたと言われる鬼将軍、ベオウルクのように、

敬愛する2人の未来を護るため、アドリアンもまた、鬼となる覚悟をした。

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