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悲しき決意_3

竜玉の力は創世の竜がこの世界を護るために遺した力。


5つの内の一つが失われたら、均等は崩れ、

徐々に、だが、確実にこの世界は滅びへ向かうだろう。



世界を護るため、

術者の長官はシオンの命を贄に今すぐ、竜玉に力を戻す事を迷わず進言した。


だが、次の瞬間、長官の頭は身体から落ちていた。


王は厳命した。


シオンの身体から、シオンに害のない方法で竜玉に力を戻せ、と・・・・・・


そんな方法、ありもしないが、

長官の末路を見た術者たちはただ、御意、と答えた。



だが、その中に、長官の最期の願いを叶えるために、

歯を食い縛り、拳から血を流して、

父親代わりだった長官を失った事に耐えた術者がいた。


その後、その術者は王の目を盗んで、

城を出奔し、1人、唯一の希望であるリョク一族を探す旅に身を投じる。



そもそも、城仕えをしている術者とは

血を辿れば、皆、ウードランド王家に囚われたり、囲われたりして

人と交わったリョク一族の子孫なのだ。


立場が違う故、命を削り合う事しか出来ないが、

長官は蛮族と言われる者達こそ、自分達の仲間なのだ、と

術者に真実を伝えていた。


長官もまた、前長官にそれを託されたように、後世に真実が残るよう

長官になった者は配下の中で彼が見定めた者だけにその真実を伝える。


そうして、脈々と、城仕えの術者達は己の真実を秘かに伝え続けていた。


逃亡した術者もまた、その1人だった。



術者がリョク一族の元へ辿り着いた時、

術者の目は色を識別できず、耳は聞かなかった。


その片足は引き摺られ、片腕は失われていた。


それでも、満身創痍の身体で術者はリョク一族に世界の危機を知らせた。


その術者が次期長官と呼ばれる程類稀なる才を持っていなければ、

カレはリョク一族の元へ辿り着く前に

ウードランド王によって確実に抹殺されていただろう。


全ての真実を伝えると、術者は満足した様子で息を引き取った。

※※ 補足 ※※


ちなみに、腕を落としたのは逃亡した術者自身。


その腕には王家によって奴隷紋が刻まれており、

万が一、自分達に逆らった場合、

長官のように首を落とし、一瞬で絶命させられる。


杖を操り、両腕に力を込めて、術を発動させる術者にとって

腕とは何より守るべき身体の部位。


だから、その腕を自ら落とし、

かつ、その状態で王家に抗える者などいるはずがなかった。



それほどまでに逃亡した術者が術に精通していたと言う事もあるが

追跡者の半分が城仕えの術者で、彼のかつての仲間だった。


そのため、追跡者の一部ではあるが、真剣に彼を追いかけておらず、

それもあって、逃亡した術者は生き延びました。

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