暴かれた罪_7(※サークリット視点)
ガクガクと震え、腰砕けになったマリアをサークリットは見下ろす。
「あの日からお前の事はいつ起き、いつ寝て、何を食べ、
誰とどんな話をしたかまで一語一句、一挙手一投足全てを監視させている。
それは全てタロに報告され、タロが重要と判断したモノを私が聞く。
そうして、後宮外でのお前の行動は常に監視していた」
後宮内でももちろん、側妃の行動は監視されている。
ただ、侍女が常に傍に居る状態のため、
マリアも後宮内では大人しい側妃の仮面を常につけていた。
注視すべきはマリアが神殿の務めと称し、城下へ降りた時。
「お前が何をどこまで知っているか、知る必要があった。
そして、お前が知ってる秘密がタロに纏わる大まかなコトだけと一応、分り、
かつ、お前がそれを誰かに漏らすつもりが今の所ない事も分かった。
だから、
私達は間者の疑いを一旦、捨て、お前の命を奪わず、監視し続ける事を決めた」
淡々とそうじゃなければ、命を奪ったと告げられたマリアは
恐怖が過ぎたのだろう、失禁していた。
タロの素性以外、マリアが知るのは王家の秘密に関するごく表面的な一部分。
だから、そこまで危険ではないのだが、
どんなに探っても情報源だけがはっきりしない。
それが分からない限り、安心できないサークリットはマリアを放置できなかった。
サークリットはその鼻に突くアンモニア臭にさえ、動じず、真実を突きつける。
「監視し続けるには、私の後宮に閉じ込めるのが一番容易で、確実だった。
それだけのことだ」
そこまで聞いて、国王夫婦は初めてサークリットの真意に気付き、
自分達の不甲斐なさに苦しんだ。
女に現を抜かし、失望させられたとばかり思っていた息子が
本当は自分達が犯した過去の罪のために
自分の名誉を犠牲にしていた事をようやく知ったのだ。
そう、王家の秘密はマリアが知るより、もっと深く、昏い。




