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暴かれた罪_2(※サークリット視点)

王妃の人払いでいくらか正気が戻ったサークリットは

部屋が完全に閉ざされるまで待ち、それから、マリアに詰問する。

「答えろ・・・・・・。

彼女に何を言い、抜け出させ、彼女を誰に襲わせた?


・・・・・・・・・・・・さっさと、答えろっっ!!」


ダンッと足を床に叩き付けたサークリットにビクッと震えるマリアは

訳が分からないと言う様子で、首を横に振る。


王妃が紳士としてあるまじきサークリットの態度を咎めようとしたが、

それを国王が止める。


王妃はそんな国王を無言で責めたが、揺るがないその瞳を見て、折れた。



一刻も早く、シオンの元へ駆けつけたいサークリットは

己の胸に生涯秘め、最期の時まで決して明かさぬと決めていた真実を

暴露する事に決めた。


「お前が城下で誰に会い、何をしたかを知っている」


え?、と頼りげない声を漏らすマリアをサークリットは冷たい視線で見下ろす。

「もちろん、タロの事も、そして、サリュが私の子でないことも知っている」


なっ、と声を上げたのは誰だったのか・・・・・・


誰しもが言葉を失っている中、サークリットは淡々と思わぬ事実を明かす。

「お前の事は神官見習いをしていた頃からずっと監視させていたからな」



ならば、なぜ、と怒りを露わにしたのは、意外にも、国王だった。


いや、国王以外は、マリアも王妃もただ茫然としていて、

思わぬ暴露に、未だ思考が停止している様子だ。


国王はサークリットに叱り付ける。

己の側妃(マリア)が他に身を寄せる事を、なぜ、傍観したっ」



国王の、その声には、過去、

突然、転がり込んできた望まぬ王位のせいで、公務に翻弄され、

時と身を囚われたばかりに失った最愛(エリーゼ)への苦い後悔が滲んでいた。


国王の時は、国王が気がついた時にはもう遅かったのだ。


2人の関係は既に国王の宮の一部では公然の秘密となり、それを正そうとすれば、

2人の罪を公にし、2人の命を奪う事でしか正せなかった。


国王は迷った。


そのうちにタロスードまで産まれて、

国王もまた、引き返せない所まで行ってしまったのだ。


国王は自分の迷いが更なる悲劇を生んだ、と今でも苦い後悔を抱え生きていた。


だからこそ、止めれたソレを傍観したサークリットが許せない。



そんな国王にサークリットは淡々と答える。

「それは、コレがそもそも、私の側妃ではないからですよ」


は?、と思わず問い返した国王達。

もちろん、マリアも意味が分からず、ポカンッとしている。


「コレは私の側妃ではなく、愛妾。


ですから、コレが私以外と関係を結ぼうがどうしようが、

私にはどうでもいい」



「え???な、なに????????」


ようやく、愛される側妃の仮面を捨て、素の表情で混乱するマリアに

困惑し切り、もう何から問えばいいか分からなくなった国王夫婦。


サークリットはようやく、今まで、必死に堪えていた感情を解き放つかのように、

いつも、マリアに向けていた優しい王太子の仮面を脱ぎ捨て、見下ろす。


その表情には汚らわしいと言わんばかりのマリアに対する嫌悪が浮かんでいた。


サークリットは困惑する彼らを置いてきぼりにして、さっさと話を進める。


どうせ、全てを明かさねば、この女狐は観念しない。


それを長い間、マリアを閉じ込めるための犠牲になっていたサークリットは

よく分かっていた。

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