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試される絆_2

だが、手元に泥団子がなくなると、サリュはその辺の小石まで投げつけてくる。


思い余った私の騎士の1人が、ムジカに目線で許可を取り、

御免、と言葉を掛けて、手刀でサリュの意識を奪うと、その後は乱戦。


それまで傍観していたサリュの騎士達が前に出て、怒鳴り合い、

侍女達までもがもみ合いを始める始末。


私は思わず、ムジカが止めるのも聞かず、前に出た。


その瞬間、

それを待っていたかのように倒れ込んでくるサリュの侍女達に

ドレスを引っ張られ、多分、わざと肘を打ち付けられる。


もちろん、あっという間にムジカに助け出され、被害は少ない。



私を救い出した瞬間、

誰もがいきり立つ中、ずっと静観していたムジカが一気に怒気を放つ。

「この件、確実に、王太子殿下に報告させていただく。


・・・・・・あらかじめ、家に帰る準備をしておくことを進める・・・・・・」



それは明らかな首宣言。


ムジカにそんな権限ないだろう、と咄嗟に思った私は間違っていたようだ。


先ほどまで調子づいていたサリュの侍女、騎士共に真っ青になっている。


一介の騎士だと思っていたのだが、ムジカは意外に上位の騎士なのかもしれない。


私は念のためにと言う事で、結局、その日は私室に戻った。



私室に戻ると、着替えを進めるシャルリーゼ達に頼み、1人になる。


サリュは泥団子を投げながら、かえせっ、と叫んでいた。


何を返してほしいのかは言われなくとも分かる。


私はギュッと目を閉じる。

「そうじゃない・・・・・・、そう、じゃない、の・・・・・・」



和解の後、

サークリットは今までを償うように、私に時間を割いた。


そもそも、忙しい人なのだ。


それが私が持ち込んだ難題(和平協定)でより忙しくなった上、

私たちは協力者として、謀らずも定期的に顔を合わせた。


それと比例するように、

サークリットの私的な時間(マリア達と過ごす時)が削られているのは当然で・・・・・・


それを周りがどう思うか、考えつかなかった訳ではない。


私の侍女でさえ、サークリットの変化を喜んでいた。


同志になっただけ、等という説明を、

例え、それが真実だとしても、信じて貰えるわけがない。


そもそも、”私”は彼の妃なのだから・・・・・・


だから、サリュが感じた焦燥や喪失は疑い様もない。


でも、違うのだ。

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