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始まり_1

 

 

 

「私は連日の政務の疲れが取れないようだ。


だが、今宵は折角の初夜。貴女には大変申し訳ないので、コレでお相手しよう」


ヒッと顔を引き攣らせ、

やめてっ、と足をバタつかせ、女は逃げようとする。


だが、

男はそんな女の必死の抵抗をもろともせず、女の足首を掴み、引き寄せると、

恐怖に竦む女の身体を組み敷いて、女の乾いた身体にハリ型を突き入れた。


「いやぁっ!!!!」





////////////////////////////////////////




沈んでは浮き上がり、また、沈む。


そんな微睡む意識の中、私は自分が自分でなくなった事を理解した。


気だるく、身を起こすのも億劫なので、

居心地が悪いほど豪華なベッドに横たわったまま

自分のアカギレ一つない、白魚のような手を見つめる。


この手の持ち主はシオン・アースランド。


つい先日まで、五大大国の一つで、豊かな自然と広大な農地を誇り、

世界最大の食糧庫と言われるウードランドの第3王女で、

つい先日から、騎獣ワイバーンを操り、空を征する竜騎士を有し、

武に優れたアースランドの王太子妃となった。



『恵まれている、んでしょうね……』


例え、身も心も捧げたいと願うほど恋焦がれた夫との初夜で

”お前では勃たない”と

純潔の儀を済ますために、ハリ型で処女を奪われたとしても・・・・・・


その上、

痛みに呻く自分に見向きもせず、初夜だと言うのに夫に去られても・・・・・・


最低な夫だと思う。

この国を背負う王太子としても、最悪の行為だとも思う。


でも、夫、アースランドの王太子であるサークリット・アースランドにも

言い分はある。


シオンは大国の王女らしく、とても傲慢で身勝手だった。

婚約者がいるサークリットに一目惚れし、3年もの間執拗に欲し続け、

最後には婚約者を追い落とし、後釜に座った。


アースランド王家の血を引くサークリットの元婚約者は

彼の側妃になる訳にいかず、他国へ腰入れたらしい。


そうして正妃に納まったシオンをサークリットは愛せる訳もなく、

せめて、シオンへ拒絶の意思を示したかったのだろう。


学園に在籍していた頃から可愛がっているという下位貴族の令嬢を

側妃に召し上げ、寵妃として、

シオンが輿入れする3年も前から寵愛しているらしい。





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