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しゅごれい  作者: 千世
第三章 涼風夜宵サイド
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(4) 学校




「お待たせ……あれ?」

 玄関の扉を開けると、白い紙袋が地面に置いてあるだけで、誰も居なかった。

 いのり、さん……?

 カイと話しているとインターホンが鳴ったので出てみると、隣の家の人で、一つ年上の朝野いのりさんだった。

 本当に久し振りだったので、最初はとても戸惑った。

 避けているつもりはなかったけど、一つ年上だったせいもあってか、ここ暫くは疎遠になっていたんだ。勿論、意図した事じゃないよ。

『ちょ、ちょっと待って』

 それから、焦っていたけど、平常心を装って出ようと思ったところに……。

『何、何? お客さん? オレにも見せろよ~!』

 姿が見えるようになっているインターホンだったので、カイが近付いてきて無理矢理覗き込もうとする。

『ちょ、おい、カイ!』

 そして思わず、カイの名前を呼んでしまった。

『カイ……?』

 いのりさんは、訝しげに……明らかに驚いたような声を上げた。当たり前だ。僕は、一人暮らしなんだから。

 だから、とっさに嘘を付いた。

 カイは猫、だと。

 で、玄関に出てみると誰も居なかった訳だ。

 もしかすると、嘘ってバレたかもしれない。

 【死ゅ語霊】のカイが他の人に見えるかどうかわからないけど、取り敢えず、カモフラージュの為に猫を飼うべきかも。

 ずっといのりさんと会ってなかったし、これから会うかどうか未知数だけどね……。








 その後、学校へ行く準備をしてから朝野家を訪ねた。誰も出なかったから、急いで学校へ向かう。突然居なくなったし、もしかすると、拐われたなんて事もあるかもしれない!

 自転車を必死に漕ぎ、電車に乗り、駅から学校までの徒歩五分の距離を駆け足で急ぐ。

 いのりさんの教室の前まで行くと、丁度いのりさんが教室の中に入っていくのが見えたので安堵する。

 良かった……誘拐とかじゃなくて……。

 僕は大きく深呼吸をした後、南側にある自分の教室の棟へと向かう。

 ちなみに、今居るいのりさん(二年生)の教室が西側。三年生の教室は北側。東側にその他の教室、と四方向に分かれている。

 西側の校舎と南側の校舎を繋ぐ渡り廊下を歩いていると、急に後ろから声が聞こえた。





「女の子を待たせるなんてダメダメダヨ。夜宵君」





 え。

 振り向くと、【死ゅ語霊】の少女・カイが嬉しそうな笑顔を浮かべて立っていた……。











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