(0) 親友
――神様。私の罪は一体何だと言うのでしょう……。
私には、仲の良い友達が居た。
居る、と言わないのは、もう既に現在には居ないからだ。察して貰えると助かる。
もし生きていれば、私の人生はどうなっていたのだろうかと、今でも時々考える。
一緒の高校に行って、一緒に勉強したり遊んだり……していただろうか。中学の時のように毎日が満ち足りていただろうか。
高校に行っても、大学に行っても、大人になっても、ずっと関係は続いていくものだと思っていた。永遠に続いていくものだと……。
しかし、ひょんな事でそれはすぐ崩れ去ってしまう。そんな事、誰にでもわかる事だったはずなのに。
もう、私の親友は居ない。
もし、なんて……今更考えたところで、どうにもならない……。
私たち子どもは、嫌でも大人になっていく。
それは、私も例外じゃない。
少しずつ身長も伸び、遊び方も変わり、友達も大人っぽくなる。小さな事だから誰も気付かないけど、私にはわかる。
でも、私は変わりたくなんかない。
親友は……どう望んでも、大人にはなれないのに。
そう、私の親友は死んでしまった。もう私の前に現れる事はなく、二度と会えない。
――はず、だった。
「久し振り~。いのりん。オレ、【死ゅ語霊】になって戻って来ちゃったんだよね」
そう言った私の親友・カイは、死ぬ前と同じ笑顔で突然私の前に現れた。
死ぬ前とは違って、少し大人っぽくなっていた……。