(19) 【死ゅ語霊】と昔
久し振りの更新です。
もう一つのモノクロームという作品が完結したので、これからはこっちを書いて行こうと思います。
……多分(予定とも言います)。
「お待たせ~」
銀行に行っていた三上さんは、無邪気な笑顔で私たちのところへ戻って来た。
「銀行が混んじゃってて……ごめんね」
「良いって、良いって。な、いのりん」
「う……うん」
その後もカイは三上さんと面白そうに会話していたけど、私はそれどころじゃなかった。
カイの言葉が、頭の中をぐるぐる回っていく。まるで木霊するかのように、何度もカイの言葉が繰り返される。
きっと本気じゃない。
ううん、さっきの会話はきっと本気だった。
二つの考えが私の中を支配していく。
私とカイは、仲良しだった。
でも、それは昔の事。カイが死んでから私は成長したし、カイもきっと同じ。だから、気持ちなんて……わからなくても当然。
けど、それで良いの?
このまま、カイの事を放置して、学園生活を送っても良いの?
カイは、もう……居ない人なんだよ?
この世界に、居てはいけない人なんだよ?
なのに、私は……。
私は、一体どうすれば良いの? カイの言いなりになって、夜宵の恋愛の邪魔をしていれば、解決するの?
わからない……。
でも、きっとこのままでは駄目なんだと思う。
ちゃんと考えなくちゃ。
カイが、この世界に居る意味を。
私のところへ来て、邪魔する意味を。
「……って事なんだけど、良いかな?」
「え?」
しまった。
全然、話を聞いてなかったよ……。
「ご、ごめん、もう一回言ってくれる?」
「いのりん、ちゃんと聞いとけよ~。バアさんじゃあるまいし」
「余計なお世話」
「大丈夫? ボッーとしてた?」
三上さんは、心配そうに私の顔を覗き込む。
もしかして、病人扱いされてるかも……と思った私は、すぐさま否定する。いくらライバルでも、友達なんだし、心配させちゃ駄目だよね。
「だ、大丈夫。ちょっと、考え事してただけだから」
「そう?」
「大丈夫だって、いのりんなら」
「どういう意味かな……」
何か、無性に腹が立つ。カイがちゃんと話してくれないから……!
「銭湯に行こうって、言ったんだよ」
「銭湯……?」
何故に、銭湯?