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しゅごれい  作者: 千世
第十章 朝野いのりサイド
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(17) 【死ゅ語霊】と仮面




「昔の事……」








 それは、カイが生きていた時の頃の事。

 何でも出来て、皆を引っ張っていけるリーダー的存在で、ムードメーカーだったカイ。私が尊敬していた人。

 なのに、私はカイを助けてあげる事が出来なかった。

 死ぬ間際に、私はカイの傍に居たのに……足が竦んで、何にも出来なかった。








「ねえ、カイ。これは、罰なの……?」








 何も出来なかった、私への復讐。

 昔のカイなら、そんな事はやらない……と思う。

 でも、死んでから現れた今のカイを見て、ふともしかして可能性もあるかも……と思ってしまったのも、事実。

「それが、いのりんの答えなのか?」

「答えって……」

「オレが現れた理由は、お前への復讐……つまり罰を与える為に来た、っていう答えかって訊いてんの」

「そ、それは……」

 可能性として思い付いただけで、答えとしてかどうかなんて……わかる訳ない。

 そもそも、もし答えを出したからと言って、どうなるって言うの?









「はあー」









 カイは大きくため息を付いた。

 へ?

 真面目な話をしていて、私も真面目に考えていて心が張り詰めていたところに、急に空気が抜けるようなため息を聞いたので、私も気が抜けてしまった。

「やっぱ、真面目な話は疲れるよなー」

「はい?」

「冗談だよ。今までの話は、全部冗談」

「じょ……冗談……?」









「そっ。いのりんを混乱させたかっただけ。さすがに、そんなに真面目に考えるとは思ってなかったんで、悪い事したなとは思ってるんだぜ。だから、謝る。ごめん」









 な、何?

 一体、何なの……?

 ころころと変わる展開に、そしてころころと表情を変えていくカイに付いていけなくて、私の頭はまさにパンクしかけだった。

 今までのが冗談?

 あんなに……と言うか、結構話したのに?

 じゃあ、今までのは何だったの? 混乱させる為だけに、あんな真剣な表情をして、悲しそうな顔をしたって言うの……?

「よく考えてみろよ、いのりん」

「は?」








「オレが、本当はいのりんをイジメたくない、なんて言うはずないだろ~。面白い為だったら、オレ、平気でいのりんの事、イジメるぜ」









 た、確かに……そう、かも。

 いやいやいや……カイの演技だって、可能性もある。カイはいつも仮面を……と言うか、大きな猫を被るのは得意だったもの。












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