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しゅごれい  作者: 千世
第九章 涼風夜宵サイド
34/54

(17) 変化




「……幸せ過ぎるくらいなんだよ、夜宵は……!」







 ビクッ。

 凄い剣幕で怒るカイに、思わず僕はビビってしまっていた。カイは女の子なのに、女の子なのに……怖いと思ってしまうなんて。

 でも、僕も感情が高ぶっていたからなのか、瞳から涙を流しつつも、カイに立ち向かうように言い返していく。

「仕方ないじゃんか! だったら、どうすれば良いって言うんだよ! ずっと独りだった僕にそんな事言われても、わかんないよ!」

「はっ! おめでたい奴だな! 人は誰でも、生まれて来る時は独りなんだよ! 自分ばっか被害者になってんじゃねーよ!」

「なってないよ!」

「なってるね! そういうところがなってんだよ! じゃあ何だ? お前は妹や友達と居た時も、独りだったって言うのかよ!」

「そうだよ! それが!」







「お前、それ……本気で言ってんの……?」







「え……」

 急に、カイの顔が寂しそうな表情へと変化した。

 それは、女の子そのものの顔だった。

 あ……え、いや、カイが女の子だって事はわかっていた事だし、今更って感じだけど……何か、いつもは男の子みたいな喋り方だし、雑だから女の子って感じはしていなかった。

 でも、今は違う。

 今にも泣き出してしまいそうな……女の子の無防備な表情。

「か、カイ……?」








「あのですネ、私の事、忘れていますヨネ?」








 僕とカイの間に立って、【守護霊】は胸倉を掴んでいるカイを僕から引き離した。そして、ムスッとした表情を浮かべている。

 ……ヤバイ。

 完全に忘れていた。

「まだ居たのかよ」

 カイも僕と同じ事を考えていたらしく、【守護霊】の方を見て、嫌なものを見たような顔をしている。

 その時にはさっきの女の子らしさは微塵も感じられず、いつも通りの……今まで見て来たカイだった。

 一体、何だったんだろう……。

 幻かと思った。

 けど、女の子らしいさっきの表情は僕の脳裏にしっかりと焼きついていた。なので、現実だと実感する事が出来ていた。

 後で、問いただしてみよう。

 カイは、僕に何か隠している気がする……。







「居ますヨ! さっきから二人で盛り上がっていて、私の事を無視して……酷いと思わないのですカ!」







「と言うか、今まで忘れてたし」

「…………」

 それは僕も同意見です。












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