表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しゅごれい  作者: 千世
第八章 朝野いのりサイド
32/54

(15) 【死ゅ語霊】と豹変

次回は、夜宵編です。

交互で読みにくくて……すみません……。


「オレが何の為にここに居るか、考えねーの?」







「――――っ」

 ふざけている風でも、おちゃらけている風でも、普通に喋っている時の風でもない……真剣そのものの少しトーンを落とした声に、私は恐怖を覚えた。

 中学の時でも、こんな真面目な声は聞いた事がなかった……と思う。

 だから、怖かった。

 いつもは調子良く、人が良さそうな雰囲気をしているのに、急に変わってしまった態度を取るなんて思わなかったから……。







「いのりん、忘れた訳じゃねーんだろ。オレは、死んでる。だって、いのりん。オレが死んだ現場に居たんだもんな」







 今度は、薄ら寒い……笑みを浮かべる。

 作り笑いのような笑顔。見るだけで怒っているとわかるような、凍り付いた笑み。怖いと思わせる……雰囲気。

 豹変したカイに、私は何も……言えない。

 いや……豹変したからという訳じゃない。カイが、本当の事を言っているからだ。またあの時の記憶が蘇っていく。

 カイが、死んだ時の事を――私は、全部知っている。

 全部を……。







「オレが居る事をナチュラルに受け入れてくれるのは助かるけど、本来死んじゃってるオレが目の前に居るって事実まで……無視すんなよ」







「…………」







「考える事を止めんなよ。オレの事、過去の事にするの、止めろよ。ちゃんと考えろよ。いのりんも、夜宵もさ……」








 今度は、寂しそうな表情をカイは見せる。

 くるくると変わっていくカイに、私はどういう言葉をかければ良いのか、全くわからなかった。どうしたら良いのか、も。

 中途半端な事は言えない……そう思った。

「…………」

 普段は、男の子のような喋り方をするカイ。

 中学の時は、何度も止めるように言っていた。大人になっていくんだから、女の子らしい喋り方をした方が良い、と。

 見た目は十分に……十分過ぎるくらい、美人なのだから……と。

 でも、何か意味があるのかな……。

 私は、ずっとカイの事を追いかけて来た。

 カイは、私の理想としていた……尊敬出来る人だったから。

 だからこそ、何も見えていなかったのかもしれない。カイの思いも、何も。今でさえ、何も見えてない。

 見ようとしていない……。

「いのりん」

「な、何……」

 漸く出た声は、かなり擦れていて……自分でも聞き取りにくいと思えるものだった。でも、二回も言う余力は……なかった。







「オレ、何で【死ゅ語霊】になったと思う?」







「……え」












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ