(15) 【死ゅ語霊】と豹変
次回は、夜宵編です。
交互で読みにくくて……すみません……。
「オレが何の為にここに居るか、考えねーの?」
「――――っ」
ふざけている風でも、おちゃらけている風でも、普通に喋っている時の風でもない……真剣そのものの少しトーンを落とした声に、私は恐怖を覚えた。
中学の時でも、こんな真面目な声は聞いた事がなかった……と思う。
だから、怖かった。
いつもは調子良く、人が良さそうな雰囲気をしているのに、急に変わってしまった態度を取るなんて思わなかったから……。
「いのりん、忘れた訳じゃねーんだろ。オレは、死んでる。だって、いのりん。オレが死んだ現場に居たんだもんな」
今度は、薄ら寒い……笑みを浮かべる。
作り笑いのような笑顔。見るだけで怒っているとわかるような、凍り付いた笑み。怖いと思わせる……雰囲気。
豹変したカイに、私は何も……言えない。
いや……豹変したからという訳じゃない。カイが、本当の事を言っているからだ。またあの時の記憶が蘇っていく。
カイが、死んだ時の事を――私は、全部知っている。
全部を……。
「オレが居る事をナチュラルに受け入れてくれるのは助かるけど、本来死んじゃってるオレが目の前に居るって事実まで……無視すんなよ」
「…………」
「考える事を止めんなよ。オレの事、過去の事にするの、止めろよ。ちゃんと考えろよ。いのりんも、夜宵もさ……」
今度は、寂しそうな表情をカイは見せる。
くるくると変わっていくカイに、私はどういう言葉をかければ良いのか、全くわからなかった。どうしたら良いのか、も。
中途半端な事は言えない……そう思った。
「…………」
普段は、男の子のような喋り方をするカイ。
中学の時は、何度も止めるように言っていた。大人になっていくんだから、女の子らしい喋り方をした方が良い、と。
見た目は十分に……十分過ぎるくらい、美人なのだから……と。
でも、何か意味があるのかな……。
私は、ずっとカイの事を追いかけて来た。
カイは、私の理想としていた……尊敬出来る人だったから。
だからこそ、何も見えていなかったのかもしれない。カイの思いも、何も。今でさえ、何も見えてない。
見ようとしていない……。
「いのりん」
「な、何……」
漸く出た声は、かなり擦れていて……自分でも聞き取りにくいと思えるものだった。でも、二回も言う余力は……なかった。
「オレ、何で【死ゅ語霊】になったと思う?」
「……え」