(13) 【死ゅ語霊】と恋
「ガールズトークしましょ!」
「ガールズトーク、って……」
突然の三上さんの提案に、私は呆れるしかない。
元々知り合いで、今少しだけ友達としての距離は縮まったかもしれないけど、いきなりガールズトークをしなくても……。
でも、三上さんの好きな人って言うのは、正直気になる。
夜宵だったらショックを受けるだろうけど、本格的に邪魔しないといけなくなる。だって、夜宵の命がかかっているし、それに……。
け……けど、参加するという事は、私の好きな人もバラさなきゃいけなくなるという事。
そ、それだけは、勘弁して欲しい。
……待てよ。考えようによっては、私の好きな人を三上さんに伝える事で、三上さんを牽制出来るかも。
いやいや……。
「あ、もしかして、ガールズトークしたくない?」
「え、あ、いや……そういう訳では……」
断ったら、不自然かな……。
そういう事よりも、三上さんの事をもっと知る為には、誘いを受けた方が……。
「楽しそうな事してるじゃん。いーのりん♪」
「――――っ」
出た!
叫びそうだったのを、必死に堪える。
ここは町中。叫んだりしたら、変な目で見られてしまう。大勢の視線に晒されるなんて、冗談じゃない。
確認しなくても、わかる。
私の事を面白がり、私の行動を見ているかのように急に現れる……カイ。
「おおっ、涼風さん。こんにちは」
「どうも~。あ、カイで良いぜ。オレもさ、『葵っち』って呼ぶし。敬語も止めるし」
止めると言うより、厭きたが正解でしょうに。
カイの性格で、敬語が長くもつ訳がない。知り合いである私が、敬語を使っているところなんて数える程しか見て来てないもの。
「わかった。じゃあ、カイ。宜しくね~」
三上さんも、何の疑問も持たず、ナチュラルに馴染んでるし。
どうやら……このままの流れだと、カイもガールズトークに参戦が決定っぽいなぁ……。何で、邪魔するんだろう……。
「……夜宵は一緒じゃないの?」
何処かへ行けという念を込めながら、私はカイを見る。
「夜宵? 夜宵は……まあ、あるオネーサンと忙しそうだからな」
「は?」
「……まあ、要するに……夜宵は夜宵の用事があるって事だ。オレが全部干渉してたら、キレられるからなぁ」
「…………」
オネーサンって誰の事を言っているんだろう?
夜宵にお姉さんは居ないはずだけど……。
「それより、オレたちはオレたちで楽しもうぜ。楽しい、楽しい、ガールズトークをさ」