(12) 下校
久し振りの更新です。
いのり編に突入しました。
更新は時々ですが、根気強く読んで貰えると嬉しいです。
『夜宵の好きな人が知れただけでも、ラッキーだと思うぜ。頑張れよ』
何よ、何よ、何よ!
何が、頑張れよ……なのよ!
楽しんでいるだけのクセに。本当は、真剣に頑張れなんて思ってないクセに!
いつも、そうだ。
中学生の時も、面白くする為に、思ってもない事をペラペラと話していた。そう、カイは話が上手いんだ……。
親切心なんて、ちっとも持ってないクセに!
頑張るものか!
――と、思いつつ……。
「いや~。朝野さんと帰るなんて、久し振りだねー」
「そう、だね……」
私は、三上さんと一緒に帰っていた。
頑張らないとは思ったものの、夜宵の命もかかっている以上、邪魔するかどうかは別として……三上さんの事をよく知る事は悪くないと思う。
同じ、部員なんだし。
明日からは部活があるから、二人で帰る機会なんて、今日だけかもしれないし……。
そう、決してカイの口車に乗った訳じゃないから!
……って、私、誰に言い訳しているんだろう……。
「本当は、朝野さんは先輩だから、敬語で話した方が良いんだよね。ごめんね、何か……後輩っぽくなくて」
「い……良いよ、良いよ。それに、部の方針だし。それに、敬語じゃない方が、仲が良くて良いと思わない?」
伝わった……かな。
私、てんぱったら、何言っているのかわからなくなってくるから……自分の言いたい事が言えてるのか、不安になるんだよね……。
考え事はしないでおこう。
てんぱっちゃうもんね。今は会話に集中しよう。
カイの事なんか、今は関係ない。あの後、言いたい事を言って何処かへ行っちゃう奴なんて、思い出す必要なし!
「やっぱり、朝野さんは凄いね~」
「え、別に凄い事は言ってないけど……」
凄い事も、珍しい事も言っていないと思う。
「部活の時は、あんまり話した事なかったし……どういう人かわかってなかったけど、とっても良い人なんだね」
良い人なのは、三上さんだと思う。
夜宵が好きになるのも、無理ないかも……。きっとこういう性格は、クラスでも……誰と話していても、変わらないんだろう。
私なんか、夜宵とまともに話も出来なくて……。
それで、好きになって貰おうなんて……虫が良過ぎるよね……。
「ではでは、ガールズトークしましょ!」
「はい?」
「ガールズトークと言えば、好きな人を暴露する! でしょ!」
……三上さんって、何となくカイに似ているかも。はじけてるところとか。