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しゅごれい  作者: 千世
第七章 涼風夜宵サイド
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(15) 諦め




「さあ、一緒に行きましょうカ。夜宵クン」







 【守護霊】は、一瞬で僕の前に立ち塞がり、手を差し伸べてくる。

 笑っているけど、怖い。見た目は天使のようなのに、バックに悪魔が取り付いているように見えてしまう。







「い、嫌だ……!」








 僕は、無意識に手を払いのけていた。

 始めに言っていた……助けてくれるという言葉よりも、今の呑み込まれそうな雰囲気に恐怖を感じたから。

「抵抗しても、良い事なんてないデスヨ。……ハア」

 ため息を付き、【守護霊】はカイを睨み付ける。

「アナタのせいデス」

「どーも」

 何なんだよ……。

 カイは、何がしたいんだよ。

 何処に居ても、どんな状況でも飄々とした態度を取るカイにイラつき、僕は八つ当たりのように大声で叫んだ。







「カイ! 助けてよ!」







 自分でも言いながら、図々しい奴だなと思えるくらいだった。

「……オレ、帰れって言われた身なんですけど」

「でも、ヤバイ人なんだよね!」

「だから、ナニ?」

「えっ……」

「オレには、関係ないし。丁度死ぬ予定だったんだし、良かったな」

 つ……冷たい……。

「――――っ」

 カイの事が、全くわからない。

 迎えに来たと思ったら、突き放したりするし!

 でも……でも、一番自分勝手なのは、僕だ。

 散々カイを責めといて、都合が悪くなると助けて欲しい……なんて、虫が良すぎる……。そんな奴、誰も助けたいと思うはずがないよね……。







「そうだよね……。……もう、いいや。【守護霊】さん、僕、何処でも行くよ。……何処でも、連れてってよ」








 つい、投げやりな言葉を口にしてしまった。

「本当デスカ!」

 【守護霊】が、もの凄く嬉しそうな笑顔を浮かべる。

「うん……」

 少し後悔したけど、言ってしまった言葉が戻る事はない。







「告白は、どーするんだ?」







 空気が読めないのか……わざとしているのかわからない、【死ゅ語霊】のカイが、いつも通りのふざけた調子で聞いてくる。

 まただ。

 イライラして来た……。

「どうもしないよ」

 もう、どうだって良いんだ……。













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