(14) 【死ゅ語霊】と真
「死ぬくらいじゃ済まない……?」
どういう意味?
この人は、【守護霊】でしょ?
カイの【死ゅ語霊】ってやつより、守ってくれそうだし。本来、【守護霊】というものは、守るものだと思うんだけど。
僕が【守護霊】側に行かないようにする為の、嘘?
それとも、言葉そのままの意味……?
「な……何、言ってんの。この人、【守護霊】だよ? 守ってくれるって言ったんだよ? それがどうして死ぬに結びつく訳?」
自分で、さっきと言っている事違うな……と思いつつも、売り言葉に買い言葉……という風に、カイに反発してしまう。
何で、なのかな……。
「はあ」
カイは大きくため息を付いた。
何か、凄く馬鹿にされているため息だったような気がする。
「それにさ、こんな優しそうな人が、そんな酷い事……かよくわかんないけど、死なせるとかそういうの、する訳ないよ」
「お前、何もわかってねーな。オレがちゃんと教えてやるから、有難く聞けよ。わかってんのか? 夜宵君」
どうして、偉そうなんだよ……。
【死ゅ語霊】だから、と言われると言い返せないけどさ。
「人が物を手に入れるには、金を払うだろ? それと、同じなんだよ。【守護霊】の場合、死んだ後、魂を食らうんだよ。つまり、夜宵君は食われちゃうって訳。わかってくれたか? ……教えてやるなんて、オレって本当……優しいよなぁ」
「え……」
僕は、反射的に【守護霊】から離れて、窓側に行きその場にへたり込む。
た、魂を食われる?
【守護霊】なのに?
一体、どういう事……!
「それでも良いって言うなら、どうぞ。オレはもう、お前を止めたりしねーよ。今のオレは、超優しいから教えてやってるだけだし」
「嘘……」
ふと自分の手を見ると、僅かながら震えていた。
自分でも、忙しい奴だと思う。
【守護霊】に助けはいらないと突っぱねておきながら、カイが現れたら【守護霊】は良い人だと言う。そして、カイが【守護霊】は悪い奴だと言ったら、それを信じてしまう。
本当、優柔不断だ……僕って……。
「ハハッ。震えちゃって、可愛いデスネ」
【守護霊】も僕の様子に気付いたようで、獲物を見定めるかのような目で僕を見て、僕の慌て振りに笑っていた。
恥ずかしいやら、怖いやらで、感情が激しく渦巻いている。
「…………っ」
「お前は相変わらず、ドスグロイ」
「褒め言葉として受け取っておくわ」