(12) 【死ゅ語霊】と守護
「助けて、あげまショウカ?」
「え?」
顔を上げると、教卓の上に座っている少女が居た。魅力的と言うか魅惑的な笑みを浮かべ、僕を見下ろしている。
あ……あれ? さっき、居たっけ?
い、いや、居なかった。居なかったはず。女の子なんて……しかも、見知らぬ女の子なら余計に印象に残るはずだよね。
「私が、助けてあげマスヨ? 涼風夜宵クン」
僕の目をじっと見つめ、ニッコリと微笑む。コスモスの花を連想させるような、ふんわりとした優しい笑顔。
リラックスボブで金色の髪をしている少女は、瞳もパッチリしていて、一言で言うと天使と言っても良いかも。
服も、カイと違って、牧師さんが着ているような白い服を見に纏っている。
でも、おかげで一目でわかったよ。
この子、人間じゃない……って。
「君、誰?」
一応、警戒心は持っておく。
見た目が天使のようだからって、味方という訳じゃないかもしれないし。カイのような奴かもしれないもんね。
「私は、アナタのような人を守る為に派遣された【守護霊】デス。名前は、ヒカリと申しマス。宜しくお願いしますデス」
「は、はあ……」
ご丁寧にお辞儀をして来たので、僕も思わずお辞儀をしてしまった。
「…………」
それにしても……。
【死ゅ語霊】の次は、【守護霊】って……。
つい最近まで普通……じゃないかもだけど、それなりの生活をしていたのに……。どうして、何時からファンタジーになっちゃったのかな……。
考えてみれば、始まりからファンタジーみたいなものだったけどさ。
「……で、その【守護霊】さんが何の用なのかな?」
「さっき言いましたケド」
はぐらかしはナシ、か……。
「……僕、守って貰う必要なんてないけど」
「本当デスカ?」
「うん。だから、帰ってよ」
平静を装ったけど、『本当?』って言われた時、ドキッとした。
本当は、もの凄く~困ってるから。……主に、カイという名のいきなり現れた【死ゅ語霊】の少女に。
居なくなって欲しいとは思うけど、人に頼む程、落ちぶれちゃ居ない。
自分で何とか出来る。
「そうデスカ。でも、【死ゅ語霊】は良いんデスカ?」
「良いんだよ! あんな、馬鹿で、威張りのアホな女は……!」
「ほおー。オレって、そんな風に思われてたんだー」
馬鹿で、威張りのアホな少女……カイが現れた。