表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しゅごれい  作者: 千世
第六章 朝野いのりサイド
21/54

(8) 部員



 私が入っている部活は、散策部。






 河川敷をひたすら歩き、自然を発見して、写真とかを撮るっていう……ごく地味な部活と言っても良い。

 その為、自ら入りたがる人なんて……まず居ない。

 私も、彩音が入ろう……と誘って来なければ、絶対に入らなかった部活だと今だから暴露しておく。

 人気がある訳でもない部活に、今頃二名も入る……?

 ちなみに、今のメンバーは部長の彩音。それに私と、三上さん……三上葵さんがメンバーだったりする。

 私と三上さんは部活で知り合ったから、親友という程でもないけれど、普通のクラスメイトよりは仲が良いんじゃないかと思ってる。

 さて。

 部員二名が入ると聞いて、何故かカイの姿を思い浮かべてしまった。

 カイはもう居ないのに。

 いや、正確には【死ゅ語霊】とやらになって戻って来たらしいけど……。






「はあ……」







 何か、折角高校生になったっていうのに、まだ中学の事を……カイの事を引きずってる、なんて……女々しいかな……。

 本当は、早く忘れた方が良いんだと思う。

 例え【死ゅ語霊】として私の前に現れたんだとしても、生きていた頃のカイが居ないのは事実なんだから。

 私は、もうカイに縛られたくないのに。

 なのに、どうして……今頃になって、私の前に現れるの……?

 夜宵の事を好きで居ちゃいけないって事なの……?

 ねえ、カイ……。






「おっはよ~。朝野さん」






 彩音と別れた後、教室に向かう為に廊下を歩いていると、背中を軽く叩かれて振り向く。

 すると、目の前には同じ部活の三上さんが居た。

 今日もご機嫌なのか、鼻歌を歌っている。何処かで聞いた事があるようなメロディだったけど、思い出せなかった。

 どうでも良い事だけど。

「おはよう、三上さん。今日も元気だね」

「まあね! 元気が私の……とりえ、みたいなものだから」

「そうかもね」

 私と三上さんは顔を見合わせて、そして微笑む。

 いつもの挨拶光景。

 近寄り過ぎず、かと言って遠過ぎない……心地良い距離感。

 だからと言ったら、三上さんはどういう顔をするのかわからないけど、丁度良い距離感は私にとってはホッとする事だった。

 こういう雰囲気がずっと続けば良いのに。

「そう言えば、部員入るの、聞いたかな? さっき部長にメールしたんだけどな」

「うん、聞いたよ。二名、だよね」









「涼風夜宵君と、親戚の涼風カイさんが入るんだって」











 ……嘘……。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ