(8) 驚愕
「およ? どちらさんかな?」
興味津々に、三上さんはカイの方を見る。
え?
カイって皆に見えるの?
【死ゅ語霊】って言ってなかったっけ?
いや、他の人には見えないなんて言ってなかったような気もするけど……。今まで誰にも何も言われなかったから、勝手に見えないと思い込んでいたのかも。
どっちでも良いけど、あんまり会わせたくなかったよ!
「あ、えっと、あの……!」
「こんにちは。この度、転校して来ました。涼風カイと言います。夜宵君の親戚なんです」
ゾクッ。
寒気と言うか、悪寒がした。
カイが営業スマイルで、しかも敬語とか遣っている事に驚きと、似合わないという感情が芽生えたからだ。
カイも女の子(口調はどうにかした方が良いと思う……)だし、清楚な動きをしても可笑しくないんだろうけど……。
僕の目には、カイが可笑しくなった……としか見えなかった。
ところが、他の人(と言うか、三上さん)には普通の人に見えたようで、不審がる事もなく普通の態度だった。
「転校生! おおっ。しかも、涼風君の親戚なんだ! 涼風君、言ってくれれば良かったのに」
「え、あ、いや、僕も、知らなくて……」
と言うか、今知りましたけど。
転校生? 親戚?
何で、そんな事になってるのさ? どうやったら、そんな事が出来るの??
「サプライズにしようと思っていたので、黙っていたんです。だから、知らないのも当たり前なんですよ」
「そっかぁ。涼風さんは、イベント好きと見たね!」
「そんな事ありませんよ~」
何、このナチュラルに溶け込んでる雰囲気は。
カイは一体、何をするつもりなんだ……?