(6) 【死ゅ語霊】と妹
『んじゃ、よろしく~』
そう言って、カイは何処かへ行ってしまった。
いつも通りの、笑顔で。
私は、たくさんの事が一気に起こり過ぎて混乱していたのか、カイを追う事は出来なかった。
ただ単に、見送ってしまったのだ。
何なんだ……。
夜宵の恋愛を邪魔しろ?
それが、夜宵の死ぬ運命を救う方法……?
だったら、どうして……どうして、カイに……都合の良い様にルールが作られているの?
私は、夜宵の事が好き。
だから、私にとっては良いルールでもある。夜宵が他の女の子に盗られてしまうのは、嫌だと思う。
でも、一番良い思いをするのは、カイだ。
勝っても負けても、カイは……夜宵と一緒に居られるじゃない……!
……本当に、カイが私の知っている親友で、【死ゅ語霊】と言うのも真実だと仮定すればの話だけど……。
多分、本物なんだろう……。
そう思って受け入れてしまった方が、混乱しないで済む。これ以上、頭の中をぐちゃぐちゃにしたくない。
「お早う御座います~! いのりさん!」
いきなり飛びついて来られてので少しよろめいたけど、何とか踏み止まる。
振り向かなくてもわかる。飛びついてくる人間は一人しか思い当たらないし、一人しか居ないから。
「彩音。お願いだから、飛びつくのは勘弁して」
「へへっ」
この子は、丸山彩音。
同じ年。
で、夜宵の…………………妹。