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しゅごれい  作者: 千世
第三章 涼風夜宵サイド
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(7) 【死ゅ語霊】と葵




 三上さんを好きになったのは、入学式での事。

 理由は大したものじゃない。

 小説や漫画によくある、一目惚れだった。

 僕がたまたま、三上さんの落とし物を拾っただけ。そして、その後同じクラスだとわかって仲良くなったという……流れに身を任せた出会いだ。

 それでも、僕は幸せものだと思う。

 出会いを与えてくれた神様に感謝もしている。

 ……まあ、【死ゅ語霊】のカイとの出会いは勘弁して欲しかったけど……。








「涼風君がギリギリに学校に来るなんて、珍しいね。私なんか、いっつも遅刻寸前だから、そういう事言える立場じゃないんだけどさ」

「ちょ、ちょっと寝坊と言うか……何と言うか……」

 思いっきり緊張しているのが自分でもわかる。

 どうして、もっと普通に話せないのか……って、いつも後悔する。

 今日も、そう。

 今回が話すのが初めてって訳じゃないのにな……。

 それに、朝に起きた本当の出来事を言えないのも心苦しいと言うか……普通に話せてない原因でもあると言うか……。

「んー、そっか。まあ、たまには生き抜きしないとだよね」

「え、あ、うん……」

「涼風君は真面目だもん。ちょっととか、たまには~……何てのは難しいかな?」

「そ、そんな事……!」

「ははっ。じゃあ、今度私とおサボリしちゃう?」

 三上さんは悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 意地悪い笑みのカイとは違って、見ているだけで和む。

 まさに、天使。

 ……って、ちょっと大袈裟に言い過ぎかな。




「ふ~ん。それが、お前の好きな子……ってヤツな訳だ」




「うえ!」

 驚きで、思わず裏返った変な声が出てしまった。

 だって、さっきまで横には誰も居なかったのに、急に僕の隣に人が現れたら、多分誰だとしても驚くと思う。

 それが、あのカイって言うなら尚更だった。

「夜宵君、そんな声を出すなんて……随分歓迎されてるみたいだな。オレって」

 『うえ』って、どういう意味だ?

 と心の声が聞こえてくるくらい、爽やかな笑顔と声でカイは答える。

 よく見ると、さっきとは違って、僕の通う学校の女子の制服を身に付けている。自然に着こなしている為、違和感は何処にもない。

 何しに、来たんだ……。

 悪寒がし、僕はじっと何も答えずに貝になったように固まっていた。

 すると……。




「およ? どちらさんかな?」




 三上さんがカイに声をかけた。

 しかも、興味津々の眼差しを向けて。

 ……カイは一体、僕の好きな人に接触して、どういうつもりなんだ……?




 これが、【死ゅ語霊】のカイと三上葵さんの最初の出会いとなった。

 嵐が、巻き起こる予感が………………………………………………………………した。








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