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しゅごれい  作者: 千世
第三章 涼風夜宵サイド
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(5) 【死ゅ語霊】と賭け



「カ、カイ……!」




 まさか学校にまで来ているとは思わなくて、思わず大声を上げてしまう。

 しかし、あまり人の通らない渡り廊下に居たので、不審者扱いされる事もなく落ち着く事が出来た。

 カイは僕が落ち着くまで何もして来なかったけど、意地悪そうなニヤニヤ顔で僕をずっと見ていた。

「な、何で、カイが、ここに……?」

「そりゃ、【死ゅ語霊】だからな」

「それ、答えになってないよ……」

「そうかぁ? 夜宵こそ、何やってたんだ~? ストーカーか~?」

「ち、違うよっ!」

 僕はいのりさんが心配で……と言おうと思ったけど、途中でやめた。

 カイはいのりさんを知らない。言ったところで、ふざけているカイには意味ないだろうし。

「……何で、学校に居るのさ」

 僕は一番手っ取り早い方法である、話を逸らす方向へと転換する事にした。

 この場に居る理由を説明したくないっていうのもあるけど、カイが学校に来ている理由も知りたかった。

「んー。まあ、暇潰し?」

「……嘘が上手いよね。堂々と言えるのが凄いと思うよ」

「それ程でも」

「褒めてないし!」

「……まあ、冗談はこのくらいにしておいて」

 カイの場合は、全部が冗談だったんじゃないのか。

 何か……カイとのやり取りが自然になって来ている事に、自分でも驚いていた。

 カイは訳のわからない【死ゅ語霊】なのに。

 ……元々、からかわれているだけなんじゃないかって思えてくる。

 だって、急に死ぬ運命だなんて……見た目がごく普通の少女に言われても、実感がないってのが正直な気持ちだし。

 カイが何かしてくるんだったら別だろうけど、ただ付いて来ているだけにしか見えないしさ……。




「唐突だけど、夜宵って好きな女の子とか居んの?」




「はい?」

 好きな女の子?

 いきなり何を言い出すんだ、コイツは……。

「だからぁ、唐突だけど……って、言ったじゃん」

 僕の驚いた表情で言いたい事を察したのか、カイが先に言葉を紡いだ。

「オレ、お前が死ぬ運命だって言ったよな?」

「へ?」

 何か、話が飛び過ぎじゃないか……?

「……言ったけど。でも、僕ははっきり言って認めてないけどさ」

「まあ……そうだろうな。だからさ、オレと賭けをしようぜ~」




 はい?




「オレはお前に死んで貰わなきゃ困る。でも、正直駄々をこねられるのは面倒って訳。そこで、妥協案を提案してるんだよ。わかる?」

 妥協案って……さっさと諦める、という選択肢は存在しないのだろうか。

「……その賭けって、何?」

「そこで、さっきの話に戻る訳だ。どうやら好きな女の子は居るみたいだし」

 まだ居るとは言ってないんだけど、そんなに表情に出ていたという事なのかな……。




「お前がその好きな女の子と付き合えたら、死ぬ運命というやつを回避出来るようにしてやるよ。……でも、出来なかった時は、言うまでもないよな?」




 この賭けは、一方的過ぎないかと思うのは、僕だけなのかな……。










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