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走り出せ!エクストリーマー!  作者: 双鶴


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第49話 ゴールの先へ

 結果発表の時間が近づくにつれ、

 会場の空気は静かに張り詰めていった。


 南条工業のメンバーも、

 俺たち科学部も、

 観客席の商店街の人たちも、

 みんなが息を呑んでステージを見つめている。


「……緊張するな」

 俺――白峰理久は呟いた。


「するわよ」

 黒江斎が微笑む。


「僕……

 心臓が痛いです……」

 雨宮柊が胸を押さえる。


 そのとき、

 南条工業の三枝が近づいてきた。


「白峰くん」


「三枝…」


「結果がどうであれ、

 今日の走りは最高だった。

 ありがとう」


 その言葉に、胸が震えた。


「……こっちこそ。

 お前らがいたから、

 ここまで来れたんだ」


 三枝は笑った。


「挑戦者同士、でしょ?」



 司会者がマイクを握る。


「それでは、

 決勝レースの結果を発表します!」


 会場が静まり返る。


「優勝は――

 南条工業高校!」


 大きな拍手が起きた。


 南条工業のメンバーが抱き合い、

 三枝たちが涙をこぼす。


 俺たちは――

 ほんの一瞬、

 静かに息を吸った。


 でも、

 次の瞬間には自然と笑っていた。


「……負けたな」

 俺は言った。


「負けたわね」

 黒江が微笑む。


「でも……

 悔しいけど……

 すごく、すごく楽しかったです」

 雨宮が涙を拭った。


 その涙は、

 悔しさだけじゃない。

 走り切った者だけが流せる涙だった。



 三枝が駆け寄ってきた。


「白峰くん!」


 そのまま俺を抱きしめる。


「ありがとう……

 本当にありがとう……

 君たちがいたから、

 私たちは本気で走れた!」


 俺も照れながら、そして泣きながら抱き返した。


「お前らがいたから、

 俺たちも走れたんだよ」


 黒江と雨宮も、

 南条工業のメンバーと抱き合っていた。


「挑戦者同士、

 最高の走りだったわ」

 黒江が言う。


「はい……

 本当に……」

 雨宮が涙をこぼす。



 観客席から、

 大きな拍手が起きた。


「科学部ー!

 よくやったー!」


「誇りだよー!」


「泣かせるなよ……

 ほんとに……!」


 八百屋の店主が泣きながら叫ぶ。


「優勝じゃなくてもいい!

 お前らの走りが一番だった!」


 喫茶店のマスターも涙を拭っていた。


「町の名前を背負って走ってくれて……

 ありがとうな……!」


 その声に、

 胸が熱くなった。



 科学部は“特別賞”を受賞した。


『地域連携賞

 エクストリーマー

 町と全国を巻き込んだ挑戦に対して』


 黒江が小さく呟いた。


「……これ、

 私たちの賞じゃないわね」


「町の賞だな」

 俺は言った。


「はい……

 本当に……」

 雨宮が涙をこぼす。



 夕方。

 会場を後にし、

 バスに乗り込む。


 窓の外には、

 沈みかけた太陽が広がっていた。


「……終わったな」

 俺は呟いた。


「終わったわね」

 黒江が言う。


「でも……

 なんか、終わってない気がします」

 雨宮が微笑む。


「わかる」

 俺は言った。


「走り切ったのに、

 まだ胸が熱いんだよな」


「青春って、

 こういうことなのね」

 黒江が窓の外を見つめる。


「はい……

 本当に……」

 雨宮が頷く。



 バスが町に近づくと、

 遠くから歌声が聞こえてきた。


『走れ、走れ

 エクストリーマー

 光を集めて

 未来へ行け』


「……え?」

 俺は窓を開けた。


 駅前広場に、

 商店街の人たちが集まっていた。


 旗を振り、

 応援ソングを歌っている。


「おかえりー!」

「よくやったー!」

「誇りだよー!」


 黒江が涙をこぼした。


「……なんでよ……

 こんなの……

 泣くに決まってるじゃない……」


 雨宮も泣いていた。


「僕……

 こんなに嬉しいの、初めてです……」


 俺は深く息を吸った。


「ただいま。

 帰ってきたぞ」



 夜の空気は澄んでいて、

 エクストリーマーの車体が静かに光を反射していた。


 その光は、

 町の光であり、

 全国の光であり、

 3人の青春そのものだった。


エクストリーマーは、

今日もどこかで光を集めている。

あの日の青春を、忘れないように。


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