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走り出せ!エクストリーマー!  作者: 双鶴


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24/50

第24話 商店街の旗が上がる

 翌日の放課後。

 倉庫の扉を開けると、机の上に見慣れない紙袋が置かれていた。


「……誰か来た?」

 俺――白峰理久が言うと、

 雨宮柊が袋の横に置かれたメモを拾い上げた。


「“科学部さんへ。商店街一同より”」


「商店街?」

 黒江斎が眉を上げる。


 袋の中には、

 スポーツドリンクの箱、補給食、そして――

 商店街の地図。


 地図には、

 赤い丸がいくつもついていた。


「……これ、全部?」

 俺は思わず声を漏らした。


「“スポンサーになりたい店”の印ね」

 黒江が地図を広げる。


 八百屋、パン屋、時計店、クリーニング店、

 喫茶店、金物屋、駄菓子屋、花屋。


 地図が、

 まるで“応援の星座”みたいに見えた。


「すごい……」

 雨宮が息を呑む。


「昨日の動画、

 商店街のLINEグループで回ったらしいわよ」

 黒江がスマホを見せる。


 そこには、

 商店街の人たちのコメントが並んでいた。


“あの子たち、いい顔してるな”

“うちの店も名前出していいよ”

“町の子が挑戦してるなら応援するに決まってるだろ”

“試走の日、店閉めて見に行くわ”


 俺は胸の奥が熱くなるのを感じた。


「……なんか、

 すげぇことになってきたな」


「すごいのは“顔”じゃなくて“姿勢”よ」

 黒江が言う。


「ひとりひとりに向けて話した動画、

 あれが刺さったのよ」


 雨宮が静かに言った。


「“町と一緒に走る”って、

 言葉じゃなくて、

 行動で見せられたからですね」


 そのとき、倉庫の扉が開いた。


「科学部さん、いる?」


 入ってきたのは、

 商店街の会長だった。


「突然すまんね。

 ちょっと話があって」


「もちろんです」

 黒江が前に出る。


 会長は、

 少し照れたように頭をかいた。


「商店街で話し合ったんだが……

 “科学部のスポンサーになろう”って決めた」


「えっ……」

 雨宮が目を丸くする。


「いやいや、そんな……」

 俺は言葉を失った。


「いいんだよ。

 町の子が挑戦してるなら、

町が背中押すのは当たり前だろ」


 会長は続けた。


「それでな、

 商店街の旗を作ったんだ。

 “科学部応援隊”ってやつ」


「旗……?」

 黒江が思わず笑う。


「明日の夕方、

 商店街の入り口に掲げる。

 お前たちのクラファンのQRコードもつけてな」


 俺は言葉が出なかった。


 雨宮が、

 ゆっくりと頭を下げた。


「……ありがとうございます。

 本当に、ありがとうございます」


「礼なんていらんよ」

 会長は笑った。


「お前たちが頑張る姿、

 町の誇りなんだ」


 会長が帰ったあと、

 倉庫の中はしばらく静かだった。


 黒江が、

 ホワイトボードの前で腕を組んだ。


「……計画、また変わるわね」


「変わるって?」

 俺が聞く。


「町がここまで動くなら、

 “見せる計画”も必要になる」


 雨宮が頷いた。


「進捗を定期的に発信するスケジュール、

 作りましょう」


「動画も増えるな」

 俺は苦笑した。


「増えるわよ。

 でも、それが“町と走る”ってこと」

 黒江が言う。


「技術だけじゃなくて、

 “物語”も作っていくの」


 雨宮がホワイトボードに新しい線を引いた。


【追加項目】

・商店街との連携

・進捗動画の定期配信

・試走会の準備

・スポンサー紹介ページの作成

・町の声を拾う窓口


「……なんか、

 プロジェクトが大きくなってきたな」

 俺は呟いた。


「大きくなってるんじゃないわよ」

 黒江が言う。


「“広がってる”の」


 雨宮が静かに言った。


「町が、

 僕たちの背中を押してくれてるんですね」


 俺は深く息を吸った。


「よし。

 じゃあ、明日は商店街に挨拶に行こう」


「行くわよ」

「はい」


 倉庫の空気は、

 昨日より温かく、

 でも昨日より引き締まっていた。


 科学部の挑戦は、

 町の挑戦へと変わり始めていた。


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