未熟
もしわたしが果物だったなら
食べる人は相当手を焼くことだろう
剥けば ペラペラの皮ばかりがどっさりとあふれ
ナイフの先端に 脂がちょっとつく
皮は赤ん坊の名残のようにかすかに甘い
今日わたしが見上げた空は
おそらく子供だましのにせものの空だった
青く寒々しく 植物を枯らし 眼を病ませ
しかし わたしは圧倒的な夢をその中に見た
夢はまだひとりよがりで幼くなまやさしい
もし世界中の人々が若返りを果たしたら
話せない孤児がごたごたいることになるだろう
開発されていた都市はすっかり空地の様相で
みんな飢え わたしの皮さえ求めている
だけど わたしは頑なにひとりぼっちを演じる
だってわたしはそれぐらいに未熟だ