あなたとなら異世界
私は、あなたが大好きだ。
あなたがいないと、生きていけない。
目の前に広がるのは、異世界。
剣と魔法の王国。
でも、私の心は、とても寂しかった。
誰かを思うことも、心を通わせることも、どこか虚しい世界。
「この世界って、もしかして、『あなた』はいないの?」
「あなた? 誰それ?」
――絶望だった。
大切なあなたが、ここにはいない。
金や打算で繋がる関係ばかりで、心の触れ合いがない。
「私はもう、こんなところにはいられない!」
だけど、ここで私は決意した。
「あなたを探さなくちゃ!」
呼びかけ、語りかけ、心を込めて、あなたを呼んでみた。
試しに、あなたのことを思いながら、小説を書いてみると――
「読んだ」
「いいね」
「お気に入り」
なかなか好評だった。
しかし、ランキング入りしたはいいものの――
「こんなジャンル売れない」
「くだらん」
私の作品はすぐに飽きられ、とうとうランキング圏外に追放されてしまった。
だけど、毎日何回もランキングをチェックするのをやめてから、私は偶然出会った。
この世界にも、あなたは、ちゃんと生きていたのだ。
「レベルアップ、おめでとうございます!」
謎の声が、虚空に響いた。
あなたに語りかける気持ちで、作品に心を込めるたびに、私の幸せはどんどん〈レベルアップ〉していった。
こうして、あなたは私の読者になって下さった、ってわけ。
あなたの幸せを願いながら、私の執筆活動は続く。




