無差別大量脳破壊 - この男の復讐には一切の正当性がない
「「「「「「「「「「「「「「「「うわあああああああああああああぁぁぁぁあああああぁぁぁぁあぁぁぁ」」」」」」」」」」」」」」」」
学校の外まで響き渡る大人数の男たちの絶叫。阿鼻叫喚とはまさにこのこと。
発信源は学校の中央の方の3階廊下あたりだろうに、かなり離れた校門にいる俺までしっかりと聞こえてきてる。どんだけ叫ぶんだよw
けどまぁ、計画通り、無差別大量脳破壊が成功したってことだし、満足だわ。
んじゃ、アイツに仕掛けたカメラとマイクで現場の様子を確認しますかねっと♪
「はぁはぁ、芽衣たん、はぁはぁ」
「嘘だ......僕の御霊さんが......こんな......嘘だ......」
「あは、あはは、あははははははは」
「これは夢だこれは夢だこれは夢だ夢だ夢だ夢だ」
「可哀想な芽衣......俺が助けてあげるからね......もう少し待っててくれ......」
「あんな汚い身体、御霊さんなわけがない......偽物に決まってる......」
「芽衣先輩、俺のことが好きだったんじゃないのかよっ。あんなに優しく話しかけてくれてたのに! ただのビッチだったのかよ!」
「天真爛漫な芽衣さんはどこにいってしまったんだ!」
「芽衣ちゃんってこんな人だったんだな。まーじで幻滅したわ」
「俺はそんな身体でもまだまだ愛せるよ......」
「誰がこんな......」
「みんなのアイドルみたいに輝いてたのに。がっかりだ」
イヤホン越しに、絶叫の中に脳を破壊された男どもの絶望に満ちた呟きがポツポツと聞こえてくる。
中には今まで以上に獣欲を目に浮かべてるヤツもいるけど、どいつもこいつもザコばっかりだし、問題はない。
長年、時間をかけて仕込んできたのが花開いた成果だけに達成感がすごい。ついでに無様な男どもに対する優越感もヤバい。
「え......全身に書かれた落書き、もしかして彫られてるの......?」
「うわー、さすがにあれはないわー。ドン引きなんだけど」
「うえっ、何あの身体。同じ女として恥ずかしいわ」
「人の身体ってあんなに黒ずむもんなの......?」
「局部にあんなにピアスとか、おもりつけられたりしてて、さすがに痛そ〜」
「あの垂れてる白いのってもしかして......」
「うん、ヤラれてきたってことでしょうね」
「芽衣ちゃん、嘘でしょ」
「私は御霊さん、もしかしたらビッチなんじゃないかって思ってたけどね」
「御霊さん、これはもう完全に人生終わっちゃったでしょ」
「御霊、チョーシ乗ってたもんね。ずっと目障りだったしちょうどよかったわ」
「タトゥーもボディピアスもエグすぎだし、それ以前に学校でハダカ晒してる時点でもう社会的には死んだようなもんだね」
「制服を破り捨ててご開帳とか。全身変態プレイを極めた上に露出狂とか、生きてて恥ずかしくないのかしら」
「まじできっしょ。あんなのと仲良くしてたとか恥ずかしいんだけど」
「御霊の家の子にしては普通すぎると思ってたけど、やっぱりイカレてたのね」
「ってかさっき、『昔赤ちゃんも産みました!』って言ってたよね? ほんとかな?」
「お腹膨れてるのなんて見たことないけど」
「そういえば中学の時、1年間海外留学してたとか聞いた気がする」
「あー、そのとき産んだのかな〜」
「あんなやつの子どもに生まれるとか地獄だよねw」
「ってかあの子、おっぱい片方だけ垂れすぎじゃね?w」
「片方だけ赤ちゃんにあげてたのかな?w」
「いや、垂れてる方だけ、誰か知らないけどさっきから叫んでる『御主人様』とかいう人に躾けられたんじゃない?」
「もしかしてあのマーク、堕ろした回数なのかな?」
「あんなになるまで愛されてるなんて羨ましいなぁ」
「この上さらにおもらしとか終わってんね」
「......なんかヌメってるっぽくない? こんだけ最悪な状況なのに興奮してるのかな......?」
「さすがは変態を極めた女だけはあるね。あぁはなりたくないよ。人のふり見てなんとやら、だね」
「白目のヤバいいき顔晒しながら泣いてる......どういう精神状態なんだろ」
「無理やりやらされてるのかな」
「あれやらせた人がいるなら、相当なドSだね」
「確かにね。後ろの穴から生えてるサキュバスっぽい尻尾も、あの無様な身体に生えてると余計に惨めさ引き立ってるしね」
「サキュバス尻尾って単体だとSっぽいイメージあるけど、あの身体に生えてると変態度高まるね」
女どもの反応はかなり辛辣だな。俺の予想ではもうちょっと同情的な感じになるかと思ってたけど、これは予想以上。ま、でも俺としてはいい方向の予想外だからイイけどな。
「あんなのと一緒の部活してたとかありえないんだけど」
「あの身体、数ヶ月でなれるものじゃないよね。絶対バレー部にいる間にやらかしてるよ」
「ねぇ、あれ、ビョーキ持ってたりしないよね......? 汗とか接触とかで伝染ったりしてないよね!?」
「だ、大丈夫のはず......引退してからかなり経つし、まだ症状出てないなら......」
「そういえば芽衣先輩、部活中いっつも上も下もピッチリした服着てたわね。あの身体隠してたってわけか。これ、バレー部の問題にならないよね?」
「いやいや、さすがに部活の方は大丈夫でしょ。3年生はとっくの前に引退してたんだし、関係ないよ」
「芽衣は部のリストからは除名だね。急いで作業しよ。過去の履歴からも消さないと......!」
芽衣のやつ散々な言われようだな。直前までは同期にも後輩にもめちゃくちゃ慕われてたのにな。天国から地獄って感じか。堕天使。いや、あのザマで天使はムリかw うっは、無様〜♪
「あれってほんとに自分から進んでやったのかな? 御主人様って人に脅されてやってたり?」
おっと。勘の鋭いヤツもいるみたいだな。ピンポンピンポン〜、大正解〜。ま、もうすでに誰がやらせてるとか関係ないけどな。
「芽衣に彼氏の話とか聞いたことないし、御主人様ってなんかやばい組織の人だったりするのかな?」
「うーん、でもあんなのでも御霊の娘だよ? さすがにないでしょ」
「じゃあやっぱり内緒の彼氏かなぁ。弱み握られて無理やりやらされてるとか......」
「えー、それはないでしょ。だって廊下で露出してるのにあんなに気持ちよさそうな表情で、しかも下の方も洪水なんだよ? 本人が悦んでやってるんだって絶対」
こっちは残念。本人は死ぬほど嫌がってたけど、俺にやらされてます。昨日の夜は「さすがに勘弁して」って泣き叫びながら土下座してて可愛かったぜ。
ま、いつも通り「なんだ、風呂の女どもみたいになりたいってことか?」って脅したら、さらに泣きながら覚悟決めてたわけだけどな。
「んー、まぁそうなのかなぁ。どっちにしろ、私に関わってこないでくれたらいっか」
「そうそう、触らぬ神になんとやらってね」
うん、普通はそういう反応するよな。今の芽衣はどこからどう見てもヤバすぎる女だ。下手に関わって何かに巻き込まれたくないって思うに決まってるよな。それが正常な判断だよ。
「うぅ......こんなのあんまりだよ......。なんでボクがこんな目に......。色んな人にこんな姿観られて、蔑まれて。シにたい......」
芽衣の小さな呟きは、周りの喧騒も相まって周囲の人間には聞こえてないだろうが、首元のチョーカーにあるマイクを通して俺にはしっかり聞こえてくる。
笑顔は崩さないように言いつけてるけど、聞こえてくる声は今にも泣き出しそうだ。いや、涙はもう流れてるけど。
まぁ当たり前だよな。自分で自分の社会的な生命を終わらせさせられてるんだから。
さっきまで仲良くしてた友達も、自分を慕ってくれてた後輩も、普通に話してた男どもも、今やみんなが芽衣の敵。
うーん、超可哀想。今晩はめちゃくちゃ可愛がってやろ。
男どもは脳破壊の大絶叫祭りみたいだけど、女どもはドン引きで悪口大会。
中には一部、男女ともに同情的なやつもいるけどほんの一部。問題にはならない。
どっちにしても芽衣は今日で退学だ。学校なんて二度と行くことはない。高校3年まで頑張って通ったのに可哀想だなぁ。
こんなやべぇことやったんだから普通なら逮捕されて然るべき状況だが、俺が手を回して介入されることはない。まったく、慈悲深い俺に心の底から感謝してほしいね。
なんにしてもこれで芽衣の人生は完璧に終わっただろ。後は俺が一生慰めながら飼い殺してやるからな。心配すんな。
ふっ、今日から芽衣は俺だけのもんだ。
「み、御霊さん......ハァハァ。き、きみ、そんなにビッチだったんだね!? 廊下でそんな格好して、よっぽど男とヤりたいんだね!? ぼぼぼぼくが相手してあげるよ!?」
あ? なんだあのキモ野郎。俺の芽衣に近寄んじゃねえよ。見せびらかしてる俺が言うのもなんだけど。芽衣、俺以外の男になんて絶対触らせんなよ? そんなことになったらどうなるかわかってるよな?
早く俺に助けを求めろ。まぁ俺に助け求めるときは芽衣の残りの人生の奴隷契約と交換って言ってるからなぁ。とっくにオワってるくせに、最後の意地なのかずっと助け求めてこないんだよな。でもそれもさすがに今日で終わりだ。
さぁ、早く助けを求めろ!
「お、俺も気持ちよくしてあげるよ!?」
「ぼ、ぼきも!」
「俺も俺も!」
「うぅ......背に腹は代えられないよ。どうせもうだめなら、せめて生涯1人だけに......。助けて......御主人さま......!」
やっと素直に俺に助けを求めたか。いやぁここまで長かった。ずっと反抗的だったからな。これで今後はちょっとは大人しく従うようになるだろ。
学校中の男どもも、芽衣も、いろんな意味で脳破壊してやったぜ!
*****
「芽衣......芽衣......お姉ちゃん......可哀想......。でも大丈夫だよ。どれだけ堕ちても私だけは味方だからね......」
俺の隣で真っ黒な眼をしてブツブツと独り呟いている女、芽衣と姉妹の知藍だけは、唯一心の底から芽衣を心配しているらしい。
相変わらず姉への愛情が行き過ぎてて笑える。
母親が違うとはいえ、姉妹、しかも同じ日に生まれ一緒に育った女に執着する女とか。普通にヤバイやつだよな。
そんな狂ったやつだからこそ、堕としやすいし操りやすいんだけどな。
「芽衣があんなに無様な姿になった理由の一端はお前にあるんだけどな。わかってんのか、知藍?」
「......うるさい。それもこれも全部、お前が悪いんだ」
「知藍が俺から芽衣を引き離そうとしなけりゃ、芽衣はあそこまでぶっ壊されずに済んだんだぜ。知藍がいなけりゃ芽衣は奴隷契約じゃなくて第一夫人にしてやれたんだぜ? あそこまでオワらされて2番目以下とか惨めすぎて泣けるよな。な? 知藍のせいだろ? 責任感じような?」
「だからっ! お前さえいなければ私達は......っ!」
憎しみに塗れた眼で、今にも襲いかかってきそうな強烈な眼で、俺を睨みつけてくる知藍。
おーこわ、なんてな。知藍もなんだかんだで俺が堕としきってるし、まったく怖くない。けどこんなに反抗的な態度。帰ったら知藍もお仕置きかな。
それよりも、画面とイヤホン越しの芽衣の周りが少しだけ落ち着き始めてる。大絶叫が止んで、いよいよあの場の全員に現実としていろいろ押し寄せてくるころだ。
芽衣とヤったときの動画も売りさばいていろんなヤツが観てるし、今もいろんな男が見てるだろうけど、芽衣に触らせたりはしない。アイツは俺だけのもんだからな。
「おっと、そろそろ芽衣も限界かな。変な男に芽衣の身体を触られんのは我慢できねぇし、ここらで助けに行くか。俺達は優しい優しい家族だからな〜。そうだろ、知藍?」
「............芽衣のためだから従うし助けにいくけど、私はお前のこと、一生絶対に許さない。家族なのはフリだけ。アンタが成人したら籍をいれるってだけだから。法的に妻になるだけ。心は堕ちてない。ちょっと芽衣と私の身体を堕として、パパに認められてるからって調子に乗らないで」
「ん〜相変わらず生意気だなぁ」
「生意気なのはお前だよ、七色。私達より2個も年下のくせに、もっと年長者への敬意を持てないのかしら」
「敬意ってのは尊敬できるところがあって初めて持てるもんだろ? 昨日の晩も情けない格好で2人で俺に土下座ったの忘れた? 芽衣も知藍も、いい女ってこととあの人の娘ってこと以外になんか尊敬できるところある?w」
「......忘れるわけないでしょあんな屈辱。あとパパのことは関係ない。あんたこそ、シんだ親の七光りでしょ。家の権力と親にもらった才能と教育がすべてのクセに。なんでもできるだけで性格終わってるカスのくせに。お前に私たちのことを貶す資格あると思ってるの?」
「んー? まぁ別に資格とかよくわかんねぇけどさ。親には感謝してるよ。俺に帝王学を仕込んでくれたのも、お前らを堕とすための武器になる風呂屋を残してくれたのもな」
「お前みたいなクズをこの世に残したんだから、お前の親はゴミよ。いいえ、もっと悪いナニカかしら」
「......まぁ、言っていいことと悪いこともわからないような女よりはちゃんとジョウシキジンに育ててもらったかな」
「はぁ!? あんたのどこが常識人なのよ! この気狂い!」
ガルルって感じでケモノみたいに吠える知藍もまた可愛いじゃねぇか。ちょうど獣みたいな尻尾も生えてるしな。
「おいおい、今日は特によく吠えるな。芽衣のえろい姿みて興奮してんのか? 心配すんな、今晩はみっちりヤってやるから」
「んっ♡ ............ちょっと。触らないで」
「なんだかんだ言いながら悦んでんじゃねぇかよ」
「悦んでない! いいから芽衣を助けにいくよっ!」
「はいはいそうだな。んじゃいくぞ。あぁそれと、わかってるとは思うけど」
「わかってるわよ......みんなの前では私がお前の彼女! ラブラブを装わないと芽衣をホームレスどもに抱かせるんでしょ! そんなことには絶対させない。しっかり演じてやるわよ!」
「うんうん、わかってればいいんだよ」
「お姉ちゃん......お姉ちゃんだけを汚れさせたりしない。私も一緒に汚れてあげるからね。ずっと一緒だよ......」
うーん、美しい姉妹愛。泣かせるねぇ。大好きな姉の最悪の姿を見て下から涎垂らしてなければ、もっと感動的だったな。
ま、この子の脳を完膚なきまでにぶっ壊したのは、だれあろうこの俺なんだけどなw
*****
「ちょっとちょっと芽衣! こんなところで何してるの!? みんなも、見ないであげて!」
「お義姉さん! 大丈夫ですか!? 俺の服で良ければ一旦着てください!」
......知藍、七色。やっと来てくれたの。
ボク、こんなに大勢にこの身体見られちゃったよ。もう完全に汚れちゃったよ。
呼んだのはボクだけど、今更来てももう遅いよ。
っていうか、お義姉さん、か。まぁそうだよね。
表向き七色は知藍の彼氏だ。周りのみんなからしたら、七色とボクの関係はただの彼女の姉でしかない。
「あ、知藍ちゃんとカレシくんじゃん」
「いくら姉妹だからってあの状態のやつを庇うとか、さすがに優しいね」
「それよりカレシくんだよ、与古島くん! いくら彼女のお姉さんだからって、あんなにブザマを晒した人を助けてあげるとか。カッコいいし優しいしやっぱり素敵だね」
「だねっ。しかも運動も勉強もできてお金持ちで。だれにでも優しいとか、完璧すぎだよねー」
「どこかにすごい欠点あるんじゃないかって疑っちゃうよね」
「でもそんなの噂すら聞いたこともないよね〜」
「あーあ、あんな素敵な彼氏がいるとか、知藍ちゃんが羨ましいなぁ〜。私と替わってくれないかな〜」
「あんた本気で言ってる? 七色くんと付き合いたいって気持ちはわかるけど、知藍と代わるってことはあの変態と姉妹になるってことだよ? しかもほぼ双子とか、地獄すぎない?」
「あー、そういえばそうだね。代わりたいってのはやっぱナシで」
*****
「ぐすっ、ぐすん。もう、お嫁にいけない......」
「もともとそんな身体じゃ、よそに嫁になんていけなかったんだから一緒だろ。ってか、嫁どころか、学校にもいけないわな。もっと言えば、もう外にでるのもやめた方がいいかもな。インラン女だって知れ渡ってるし、どこで襲われるかわかったもんじゃねぇ」
「あ、アンタのせいでしょ!? なに人ごとみたいにいってるわけ!? あぁ、芽衣、可哀想に......」
学校から帰ってきてもずっとグズグズと泣きわめく芽衣に知藍が寄り添って慰める。麗しき姉妹愛。
かと思ってたら、芽衣が知藍をキッと睨みつける。
「知藍は七色の彼女だし、後2年して七色が成人したらお嫁にいけるじゃないか。それに対してボクは単なる1便器。好きホーダイ弄ばれるだけのおもちゃなんだよ! ボクは遊びで産まさせられて、遊びで堕ろさせられる。なのに知藍はラブラブ避妊イチャイチャ。こんなに境遇が違うんだから知藍にボクの気持ちがわかるわけない!」
「そんなことない! 私は芽衣のためにイヤイヤこいつと契ってるだけなの! 私も芽衣と同じ苦しみを味わってるわ!」
「そんなこと、ボクは頼んでない! しかも知藍はいっつも悦んでるじゃないか! 嫌がってるのは口だけで身体は自分から擦り付けてるじゃないか!」
「頼まれてないけど、芽衣のためなの! それに、違うの! 悦んでない! コイツがうますぎるだけなのよ!」
「なにも違わないじゃないか!」
姉妹喧嘩はやめてもらいたいもんだ。
ひとしきり言い合いの喧嘩をして、二人して号泣しながら罵り合ったあと。少し落ち着いたのか、芽衣が鼻をすすりながらポツリと呟く。
「グスッ......もういいよ。でも、これでボクをあのお風呂に沈めたり、売ったりしないでくれるんだよね......?」
かつて芽衣に言うことを聞かせるために見せた風呂稼業。俺が親から受け継いだ借金苦の女どもを沈める裏の風呂。それを見せつけたのがいまでもかなり効いてるらしい。
あのときは脅しの材料が必要だったけど、今となっては芽衣が頼れるのは俺だけなんだ。もう脅す必要もないな。
「あぁ、約束するよ。ってか、別にあそこまでやらなくても、芽衣を手放したりするつもりは最初からなかったからな。まーじであんなことやるとは思わなかったよ。いくら命令でもさすがにそこまで堕ちれるとは思ってなかった」
「..................は? ん? つまり、ボクがあんな社会的なジサツをしなくても、七色はボクのことを手放したり性病まみれのホームレスに抱かせたりする気は、最初からなかった......ってこと?」
「お前......! 私たちを騙してたのか! 自分で自分の人生終わらせないといろんな男に回させるとか、私も芽衣を終わらせるの手伝わないと芽衣を風呂堕ちさせるとか言ってたけど! でもそんなつもりなかったんだな!? くそっ、こいつの独占欲舐め過ぎてた! 最初から絶対に私達を手放すつもりなんてなかったんだ。私と芽衣を手籠めにするために適当な脅しに使ってただけだったんだな!」
「人聞き悪ぃなぁ。ま、間違ってねぇけどさ」
「ウ、ウソだ......。それじゃあこの数年間、大人しく躾けられて、全身取り返しつかないことにされて、言われるまま産んだり堕ろしたりしてたボクの努力の意味って......? 今回みんなの前で露出してバカみたいな振る舞いをしたのも、全部無意味だった、ってこと?」
「お、お姉ちゃん」
「いや、無意味なんてことはないぞ」
「は?」
「........................どういうこと?」
「俺が芽衣に復讐できて気持ちよくなれた!」
「「復讐?」」
姉妹仲良く同じ怪訝な表情で、同じ角度で首をかしげ、同じような睨み方で、同じトーンの声で聞き返してくる。
「......ボクがなにしたっていうんだよ」
「......芽衣が悪いみたいに言わないでよ」
「ここまでヤラれなきゃいけないようなこと、ボクはしてない!」
「私の芽衣をここまでヒドイ扱いして許されるような理由になるようなこととか存在しないから!」
間髪あけずに矢継ぎ早に文句を言ってくる姉妹。やっぱ似てるわ。
「まぁ聞け。これはな、芽衣、お前への復讐なんだ。幼い俺の脳を破壊してきた、お前へのな」
「ボクが、七色の脳を破壊した?」
「......どういうことよ」
本気で復讐される理由が思いつかない、俺の脳を破壊した記憶がないって顔してやがる。ムカつくぜ。
「あれは俺が小学校5年の終わり頃だった。親を亡くして失意の底だった俺に芽衣は寄り添ってくれてたよな」
「......あのころの七色は、今と違ってイイ子だったし。落ち込み方も、見てられないくらい可哀想だったしね」
「あぁ、心が壊れそうでギリギリだった俺を、芽衣は留めてくれたんだ」
「あのころにシんでてもらえばよかったかな」
「そういうなよ。俺にとってはいい思い出なんだ」
「けど、ならなんで復讐なんて話になるのよ」
「忘れもしない、3月23日だ。芽衣が俺に言ってきやがったんだ。『同級生の男の子に告白されちゃった♡』ってな」
「「............それで?」」
「許せないだろ! 好きな女が! オンナの顔して! 言ってきやがるんだぞ!? しかも言うに事欠いて『ボクどうしたらいいかなぁ?』だと」
「..................で?」
「........................」
「許せなかったね。俺の純情を弄んだ芽衣も、俺の芽衣をたぶらかす男どもも。このままじゃ芽衣の純潔が奪われると思った俺は、次の日に芽衣を襲った」
「くっ......。あの日ね。私も芽衣が襲われたって聞かされて絶望したわよ。しかもあの日一発で芽衣は身ごもるし。最悪の思い出ね」
「..................」
「その日から芽衣が俺に向ける視線は変わった。嫌悪に。憎悪に。恐怖に。俺がこんなに愛してるのに俺を愛し返さない芽衣が許せなかった」
「当たり前でしょ。女の子の尊厳を奪ってきた男に向けるのにふさわしい視線じゃないの」
「..................」
「俺の脳はぐちゃぐちゃ。ハートはズタズタになった。そんなわけで、芽衣に復讐したうえで、一生俺のモノにすることにしたってわけだ」
「ほんとにシね! まっっっっっっっっっっっっっっっっっっったく意味分かんないわよ! 徹頭徹尾自分勝手で意味不明! 知ってたけどあんたキショすぎ! ちょっとは漢らしさとかないわけ!?」
知藍は吠えまくってるけど、芽衣の方はさっきからしばらく黙ったまま俯いてる。何を言おうとしてるんだろうな。
「七色、そんなにボクのこと大好きだったの......?」
「え? 芽衣?」
は? なに今更なこと言ってやがる。
「あぁ、当然だろ。俺はずっと芽衣のことが好きだよ。愛してる」
「......じゃあなんでボクのことこんなに痛めつけたの?」
「だから、俺を傷つけたから、その仕置きだ」
「醜いタトゥーとかボディピアスとか、だらしない身体にしたのとかは?」
「俺以外の男がドン引いて誰にも相手されない女にするためだ。今回のことでそんな身体でもヤリたがる物好きはそれなりにいることが分かったから無駄だったけどな。まぁ、俺のだっていう印になってるからいいか」
「愛ゆえ、ってこと?」
「だからそう言ってる」
当たり前だろ。今更。何が言いたい?
「ふーん、そっか。へー。ボクをキライだからムリヤリしてきたわけじゃなかったんだ。へへへ。そーなんだぁ。ボクのこと、ずっと大好きで、大好きすぎて復讐しちゃったのかぁ。そっかそっかぁ。嫉妬しちゃったんだぁ」
「ちょ、ちょっと、芽衣......?」
「でもボクはこれから一生、便所奴隷なんでしょ? 知藍は妻でボクは違う......。ホントにボクのこと好きなの?」
「? 何いってんだ。便所奴隷はそうだが、それも妻としての役目じゃないか」
「!?!? そ、それってさぁ。つまり、知藍だけじゃなく、ボクも七色のお嫁にしてくれるってこと?」
「当たり前だ。むしろ俺以外のヤツのところに嫁ぐつもりだったのか? そんなの許すわけ無いだろ。お前は俺のだ」
「そっかそっか。ふーん。ボク、七色のお嫁さんか。ふーん。それじゃあ仕方ないかぁ。二へへ。まぁどっちにしてもボクはもうお外にでられないわけだしね。最低でゴミクズな旦那さまだけど、ボクは七色に養ってもらうしかないわけだし〜? そこまでボクのこと好きならしょーがないかな。すっごいイヤだけど、お嫁さんになってあげる。養って貰うかわりに、ご奉仕してあげるよ」
「め、芽衣......。アンタなにを言って......。なんでそんなメス顔してるの......? こんな最低の話聞いて、なんで嬉しそうなの!? っていうか、妻になんてならせないわよ! 私がなんのためにこんなヤツと契ったと思ってるの!? すっぽんぽんで土下座して、私の人生捧げるから芽衣のことは自由にしてあげてって懇願した私の努力は!?」
「だから、ボクはそんなこと、知藍に頼んでない。てかそんなことしてたんだ。ほんと昔から余計なことしかしないよね」
「え......?」
「ボク、知藍のこと恨んでたんだ。ボクのハジメテは愛情もなにもないようなムリヤリな行為だったのに、知藍の初体験は優しくて丁寧だったし。知藍はスキンつけてもらえるのに、ボクはつけてもらえない。ボクはこんなに躾けられてるのに、七色のパートナーになったのは知藍だし。ボクは醜い身体になってるのに、知藍は全然キレイな身体のままで。七色の愛をボクから奪っていってさ。ボクが七色に汚された意味を灰燼に帰してくれたんだから」
「そ、そんな......私はよかれと思って」
「それが余計だって言ってるの」
「で、でも芽衣、コイツにヤられたあと、めちゃくちゃ憎んでる表情してたじゃない! コイツのこと、ほんとは大嫌いなんでしょ? 憎いんでしょ!?」
「それはただ、ボクを貪ったくせにプロポーズしてこない七色にムカついてただけ。素直に言ってくれてたらボクは自分から捧げてたよ。なのにさ、せっかくのチャンスだったのに、お嫁さんポジは知藍が横からかっさらって。美味しいとこだけ奪い取って。そりゃ憎いよ知藍のこと」
「う、嘘よ。うそうそうそうそ。ウソウソウソウソウソ!!! 嘘だ! 芽衣のためだったのに、私が余計なことを? 恨んでる?」
「うん。でも、それももういいよ。ボクもお嫁になれるし、最初に愛されてたのはボクだってんだから、許してあげるよ。知藍も一緒だ。でも知藍はボクのおまけで愛されてるって忘れないでね。一緒に七色に誠心誠意ご奉仕してくれるだろ? 知藍はボクを独りにしないよね?」
芽衣のやつ、最低の姉だなw
妹に愛されマウント取るとか。自分のために献身の限りを尽くしてくれてた妹にこんな仕打ちとか、やばすぎw
まぁ、芽衣が絶望するように知藍との扱いの差をわざとらしく明らかにしたのは俺なんだが。
「い、いや......」
「ボクらいつもお揃いだったじゃん。知藍だけキレイなままなのはおかしくない? ほら、知藍も昔からボクとなんでもおそろいにしたがってたじゃん」
知藍も最愛の姉に、尽くしてきた相手にコケにされて、絶望の表情してるじゃねぇか。可哀想に。可愛いよ。
だけど、絶望する必要はない。
「心配するな芽衣。仲良し姉妹なんだ。普通の身体の知藍にも飽きてきてたところだ。全身、おそろいにしてやる」
「だってさ。よかったね、芽衣。大好きなボクと全部おそろいだって♪」
「......違う......こんなのは......。芽衣はこんなやつじゃなくて私のほうが大事なはず。こんなの......こんなのは違うのおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉおおぉぉおぉお!!!!!!!!!」
また一歩深く、脳が壊れる音がした。