表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/168

第七十三話:姉川の戦い(中編)

 朝の霞が戦場を覆い、信長陣営が静かに戦の準備を進める中、兵たちの動きが忙しくなっていた。

 同じころ、浅井・朝倉連合軍もまた、その重なる決意の元に動いていた。


「すべての力を結集し、我らの誇りを守るべきだ」


 浅井長政は自らの矜持を胸に、兵士たちに指示を飛ばしていた。その眼の奥には燃え上がる闘志が宿る。


その一方で、朝倉景健は冷静に戦局を見極め、兵たちに的確な指示を出していた。


「利害を超えて、この戦いで信長の野心を打ち砕こう。我々の利益のために全力を尽くすのだ」


 浅井・朝倉軍は霞を利用し、徐々に兵を移動させ、奇襲の準備を進めていた。森の中の暗闇が彼らの動きを隠し、信長陣営は一瞬の間に油断を犯した。


「浅井・朝倉軍が退却したか…」


信長は一瞬の判断を誤ったが、宗則の鋭い勘がそれを見逃さなかった。


「信長様、この状況には何か怪しい気配が致します」


 宗則は陰陽術を駆使し、周囲の気配を探り始めた。風が木々を揺らし、彼の儀式のもとに微かな動きを感じ取る。


「これは…奇襲の兆し。彼らは我らを欺き奇襲を仕掛けようとしている」


 宗則の報告を受けると、信長の顔には冷徹な決断が浮かんだ。


「宗則、敵の奇襲を看破するのだ。全軍、直ちに陣形を整えろ」


 信長の命令が飛び交い、織田・徳川連合軍が再び戦の態勢を整えた。周囲に散った兵たちが素早く戻り、警戒を強めた。


 その不安感を感じ取った浅井長政は、鏑矢を朝倉軍に向かって放つ。


「奇襲の合図です。今こそ全軍突撃で信長軍を崩す時です」


 浅井・朝倉軍は奇襲を決行し、一気に信長陣営へと迫った。異様な静けさが一瞬の後に破られ、戦場が再び動き始める。


「全軍、出撃せよ!我々の誇りのために」


 長政の声が響き渡る。信長軍は突如として背後から奇襲を受ける形となり、瞬間の混乱が広がった。しかし、宗則の見抜いた情報の力が、陣営の再編を助けた。


「信長様、急いで陣形を立て直し、反撃に備えましょう」


 宗則の冷静な指示が兵たちに伝わり、織田・徳川連合軍は奇襲に対して急な防衛を整えた。怒号と悲鳴が戦場にこだまし、剣戟の音が激しく響き渡る。


「これは我らの未来を懸けた戦いだ。決して後退することなく、信長を討ち取るのだ」


 長政の指揮下にある兵たちは奮い立ち、その勢いをもって突進した。だが、朝倉景健は乱戦による消耗を良しとせず消極的な指示に終始し、浅井・朝倉両軍の進軍は間延びする形となっていく。


 戦況が進むにつれ、信長軍も体勢を立て直し、冷静に反撃を始めた。宗則の陰陽術が戦場の空気を変え、奇襲の勢いを逆転させる。


「信長様、敵の勢いが一時的に収まっています。今こそ反撃の機会です」


 信長は宗則の報告を受け、新たな命令を発する。


「全軍、反撃を開始せよ。敵の動きを封じ、我らの勝利へと導くのだ」


反撃が開始され、戦場の緊張感が一層高まる。宗則の冷静な判断が光り、戦局が少しずつ信長軍に有利なものへと動き出す。

数ある作品の中から今話も閲覧してくださり、ありがとうございました。


気が向きましたらブックマークやイイネをお願いします。

また気に入ってくださいましたらこの後書きの下部にある⭐︎に高評価を宜しくお願い致します。


執筆のモチベーションが大いに高まります!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ