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運命の皇子と伝説の乙女  作者: ふう
第一章 皇子の帰還

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50 潮の流れ

戦い終わったその後は。



 ベルゼルク大公の犯した罪が明らかになり、処刑されたというニュースはあっという間にローゼンシア帝国内を駆け巡り人々を騒がせた。


 先日、祖国を守るため華々しく出陣式を行い帝都を発った帝国騎士団がドニエーブル帝国軍に辛うじて勝利しコルネリゼ辺境伯領から退けながらも、大将であるチェザーレ将軍を敵国の捕虜として拉致されたと報じられた。

 後味の悪いその戦いそのものがベルゼルク大公とドニエーブル帝国との密約によって仕組まれた八百長のようなものだったという。

 それだけに止まらず、帝国民に敬愛されていたアレクサンダー皇太子殿下を殺害し、皇帝陛下と新たに見つかったリオンハルト皇子を害し、国を乗っ取ろうとしていた大公の悪事が明らかになって、そのことに深い悲しみと強い怒りを感じていた民は大公の処刑に溜飲を下げた。


 一方、大公の処刑後、ルドルフ副団長が率いる大隊がざわめくビエナブルへ帰ってきた。

 行きとは違い凱旋式も無く、出陣式で先頭を白馬に跨がり沿道に詰めかけていた民衆の歓喜の声に手を振っていたチェザーレ将軍と、金色の獅子と共に馬を進めるリオンハルト皇子の勇ましい姿も無く、多くの者が白い包帯を巻き、足を引きずり痛々しい姿での重苦しい空気の漂う帰還であった。

 特に負傷者の多くと死者数名を出した第一騎士団と、捕虜として敵に連れ去られたチェザーレを守るはずだった近衛騎士団は、この戦い自体が茶番だった事を知り、大きな怒りと民衆から向けられる戸惑いの冷たい目に騎士としての負い目を感じていた。

 そしてほとんどの者が無事だったリオンハルトが率いた別動隊の者達は、実は自分達の部隊はリオンハルト皇子を亡き者にするために仕組まれた今回の戦いにおいて「捨て石」の役目を負わされていたことを知る。

 もしリオンハルト皇子と聖獣様と突然躍り出たディー少年があれほどの強さでなかったら、自分達もあの場にて負傷していたかもしくは全滅していてもおかしくはなかったのだ。

 いや、自分達だけではない、ローゼンシア帝国という国自体も果たして無事であったかどうか分からなかった。

 この戦いに赴いた全ての騎士達はこの考えに思い至り、強い憤りを感じたのであった。


 そうしてその結果、ローゼンシア帝国内は大変な混乱状態となっている。

 テレンス達の寝る間を惜しんだ努力により、大公による数々の不正と、陰謀に加担した貴族達の名が明らかになり、収監され刑に服す者、降爵や領地の改編や罰金刑など、政界の地図は大きく書き変わることとなった。

 しかしこれからリオンハルト皇子が立太子し、ローゼンシア帝国がより良く変わる新しい未来の為にはこういった腐った旧勢力の膿を洗い出し、政治の正しい流れを取り戻すために必要な処置と、宰相もテレンス達文官も身を粉にして頑張っていた。


 その思いはリオンハルトも同じで、近々皇太子になることが決まった第一歩として、今まで空席だった元帥の職を拝命し、軍事を掌握してまずは大胆な改革を施すことにした。

 まずは第一騎士団と近衛騎士団の団長を兼任してたチェザーレが居なくなったことによる人事と騎士団の再編成だ。

 今回の戦いにより近衛騎士団と第一騎士団の一部の実力の無さ、弱さが露呈した。

 特に近衛騎士団と第一騎士団の貴族である騎士達は軍事行動中にも関わらず飲酒して泥酔し、敵の急な襲撃に対応することが出来ず軍に多大な損害を与えたとして多くの者が懲戒解雇や降格の上、他の騎士団への移動を言い渡された。

新入りの騎士の待遇だが、多分ついていくだけで大変な思いをするだろう。

それで騎士団を辞める者もいるだろうが、実力をつけて欲しいとリオンハルトは思っている。

 また今回、怪我で退団する者も多くいた。

最後チェザーレと一緒にいた近衛騎士のルクレチアも実家からの強い申し出を受けて退団し、その後の未来は明るいものではないだろう。

 リオンハルトは人数の減った二つの騎士団を別の組織として編成し直し、近衛騎士団の貴族の子女のみという入団資格を撤廃し、全ての騎士団の入団試験を厳しくして近衛騎士団の団長にエディを、第一騎士団の団長に副団長だったルドルフを任命した。

 その結果、エディとルドルフ両団長のへなちょこ騎士達を扱く声が連日鍛錬場に響くこととなった。


 

 ディアーナはあの戦いから帰った後、変装することを止めた。

大公とチェザーレがいなくなった今、婚約話は立ち消えとなり、正体を隠す必要が無くなったからだ。

 皆には初め黒髪から銀髪に変わったことに驚かれたが、自然に受け入れられて以前と変わらず第一騎士団に見習いとして身を置き、またテレンスの元でメイドとして働いている。

 穏やかな日々が戻ってきたが、しかし当初ここに来た目的が果たされた今、もうここにいる必要はないのかもしれない。

 戦いが終わり、確かに全てを取り巻く潮目は大きく変わった。


(リオン兄様は元帥となられ、ローゼンシア帝国騎士団も改革が進みこれからは強くなるだろう。

兄様の周りには契約を交わした聖獣のレグルス様に相棒のようなエディ様、晴れて側近となったテレンス様もいる。

聖騎士だった時に目をかけてくださっていたツェルニッヒ大司教様にもちろんお父上である皇帝陛下も。

それにこれからは強くなった騎士団も兄様を支えていくだろう。

陛下も以前と比べて随分とお元気になられ、少しずつ公務も再開されて兄様が補佐をしておられる。

後は無事皇太子となって、あの美しいロートシルト公爵家の姫君を婚約者に迎える…。)


 マルティオス騎士団で艦を預かることもあるディアーナは潮目を読むのは上手いのだ。


(と、なると今が引き時か…。)


しばらく青い夏空を見上げていたディアーナは決心する。


(帰ろう。マルティオスへ。)


 目的を果たし達成感に心弾むはずなのに、何故か明るい夏の輝きが眩しすぎて目に沁みた。




説明回。

くどくてすみません。

ちょっとだけざまぁ?


お読みいただきありがとうございます。

不定期投稿になりますがよろしくお付き合い下さいませ。

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