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運命の皇子と伝説の乙女  作者: ふう
第一章 皇子の帰還

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40/59

40 新たなる光の影で

リオンハルトの皇子様ムーブにディアーナの思いは…。



 豪華な大広間(ホール)に煌めくシャンデリア、そこに集う色とりどりのドレスに宝石を身につけた紳士淑女達の中で一きわ光り輝いているのは黄金色の髪を持つ皇子となったリオンハルトだった。

これはディアーナの贔屓目だけでなく、リオンハルトに注がれるたくさんの頬を染めた人々の眼差しが語っている。


 そんなリオンハルトが今、皇帝の宣言の下、正式に皇子と認められて人々の熱い眼差しを受けてファーストダンスを踊っている。

 ジェラールの養子にならなかったリオンハルトにとってはデビュタントを経験していないため、正しくファーストダンスだ。

 お相手はフローリア ロートシルト公爵令嬢だ。

年はディアーナの一つ上の十七歳。

ふわふわした淡い金髪をサイドに纏めてバラの花を挿し、瞳と同じ薄ピンク色のドレスを着た華奢で可憐な令嬢が頬を染めてリオンハルトを見上げている。

リオンハルトも優しい微笑みを浮かべ、二人の息の合ったダンスをする姿は絵のように美しい。

 フローリアの姉、ティターニアは3年前に事故で亡くなってしまったがアレクサンダー皇太子の婚約者だった。

姉亡き今、家格といい、資質といい、この「ロートシルトの妖精姫」と呼ばれている美しき姫をリオンハルトの婚約者にと望む声は多い。

 ディアーナはホールの隅からそんなお似合いの二人のダンスを眺め、横にいるミリアムにしっかりと目に焼き付けて、後で保存用と鑑賞用と最低でも二枚は「推し絵」を描くようはっぱをかけていた。

 ただ、何となく、何となくだか結局自分はリオンハルトとのダンスを望んだにもかかわらず、一度も機会がなかったことに羨ましく胸の奥がモヤモヤチリチリする。

なんだか今までのように麗しいリオン兄様を眺めてはキャーキャー盛り上がって楽しんでいた頃とは違う気がした。

フローリア(花の女神)」と「ディアーナ(月の戦女神)」とでははなから比べられるものでもないのにと、苦笑いが出た。

 キラキラした二人のダンスは続いている。

こんな所で眺めていることしかできない自分と、リオンハルトが手の届かない所へ行ってしまったという立場の違いに、ディアーナは改めて寂しい現実を見せつけられる思いがした。



 その日の夜、誰もいない執務室でベルゼルク大公は一人、今日の宣誓式と夜会の様子を思い出し血圧が上がるほどイライラしていた。

 自分の息のかかった貴族達を扇動してリオンハルトの立太子をどうにか食い止めたものの、正式に皇位継承順位一位の皇子としての立場が認められてしまった。

その上、ファーストダンスの相手にはアレクサンダーの元婚約者の妹の力のある公爵家の娘が選ばれた。

そのまま婚約ともなれば、リオンハルトの立太子は確実なものとなるだろう。

 それに死にかけていた兄皇帝がどうしたのか以前とは比べ物にならない程、元気な姿を見せていた。

 このままでは自分に次の皇帝の座どころか摂政の地位も失うかも知れない。

 辺境伯領で平民同様に育ったくせに、全く悔しいことに新しく皇子として迎えられたリオンハルトは聖コンティス王国で後継者としてのさまざまな教育を受けていたらしく、こちらでも後継者教育を任せられている講師陣にとても優秀だと評判は良い。

 剣の腕も、以前あのマルティオス騎士団の副団長を勤め、S級冒険者の資格(ライセンス)を持つほどのものらしい。

それにどうやったのか、この国では信仰の対象でもある聖獣と契約していた。

あまりにも完璧すぎてヘドが出る。

 せめてチェザーレがもう少し、剣の腕前だけでも優れていたなら…。

説教してものらりくらりと言い訳ばかりで動こうとせず、女の尻を追いかけている。

 逆転の可能性のあるマルティオスの娘との婚約も娘が引きこもっているとか言ってまるっきり進んでいない。

 そのうちに万が一にもテレンスだったか宰相の小倅が嗅ぎ回っている()()()()が明るみに出てしまったら…。

 大公は崖っぷちに立たされているような焦燥感を覚えて無い髪を掻きむしりたくなった。


(そうだ、リオンハルトを堂々と亡き者にすれば良いのだ!)


 良い考えを思いつき、高笑いしたいのを堪えて大公は机の引き出しからペンと便箋を取り出した。

書き上がった手紙を厳重にベルゼルク大公家の紋章が刻印された蝋印で封をして、ベルで侍従を呼ぶ。


「あの者を呼べ。」


 しばらくして大公の執務室に現れた黒いマントのフードを深く被った男にその封書は手渡された。

夜の闇に紛れた男は馬で北の方角へと駆け出して行った。




 ローゼンシア帝国の帝都ビエナブルクから遠く離れた北の地の、重厚な石造りの宮殿の会議室で、カーキ色の軍服に身を包んだ大柄な男達を前に、ひときわ大きな体躯の豪華な軍服の男が眉間に皺を寄せ渋い表情で辺りを睥睨していた。


「ご決断を。皇帝陛下(ツァーレ)


「この時期を逃すとますます我が国は動きづらくなりますぞ。」


「そうです。このままでは我が国は…。」


 大陸でローゼンシア帝国に次ぐ北の大国ドニエーブル帝国。

 この大国は大陸の最北に位置し、ローゼンシア帝国とその隣接するグルシア王国、その隣の聖コンティス王国にまたがる国土を有する。

北の海に面し、国土の大部分の広大な森と険しい山脈とでこの三つの国からは隔てられており、寒冷な気候の国である。

 その気候の厳しさ故か、一神教の厳格な教えの皇帝を頂点とする宗教国家で、強大な軍事国家でもある。

 現在の皇帝はドミトル三世。

神の乗り物と言われる鷹に似た魔獣のステュムバロスと剣を模ったものを国章とする。

 そんなドニエーブル帝国の帝都セルゲルスクに在る通称、黒の宮殿の会議室に先日届けられた封書を巡って国の重鎮達が議論を続けていた。

その封書の蝋印には翼のある獅子のベルゼルク大公家の印がついていた。


 









 

 

実はミリアムは推し絵作家でもあります。


お読みいただきありがとうございます。

不定期投稿になりますがよろしくお付き合い下さいませ。

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