表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/14

1-2 どうやら学校に通わないといけないらしい

 その話から行動は早かった。シンの家族3人が村の人達にここを離れると伝えると、村の人なそれを少し拒んだ。ウェイドとレナはこの村で働いていることもあり、2人が抜けると村的にも困るのだ。


 だが、ウェイドは「息子の為なんだ。すまないがわかってくれ」と言い、半ば強引に説得させた。


 そしてそれから2日後、シン宛に手紙が届く。学校からの招待状だ。


「シン、それをよく読んでおくといい。試験内容と必要な物が書かれている」


 シンは頷き、手紙を読む。


『久しいなウェイド、レナ。初めまして、二人の息子シン。話には聞いているが、いくら二人の息子であっても試験無しにとはいかん。だから、軽い実技テストをする。持ち物は特に無い。こちらに来てから用意すれば良い。だがくれぐれも気をつけろよ? この方法で転入する者を嫌うものが多い。皆大変な勉強と特訓をして入学しているからな。それは覚悟しておくがいい。伝える事は他にもあるがこの手紙だと不足する点もある。あとは入学試験合格後に話そうではないか。冒険者育成学院 校長 アルブレム・アレン』


「試験か……っていうか、どうやらこれは大変な生活になりそうだ」


 試験前から嫌な情報が得られてシンは頭を抱えた。それなりの苦難は経験してきたが、同級生や先輩にちょっかいをかけられる確定のこの文面は少し嫌になる。


「まぁそう言うな。この時期に転入ってなると難しいんだ。本来はもっと早くに言うべきだったんだが決心が付かなくてな……それに、仮に入学できてもハンデは既にある。それも補わなければならない」


「そこは安心して。俺は頭良いから」


「そうでなくっちゃな」


 父親と笑みを交わす。こんな経験はいつぶりだろうか。魔王時代、誰とも笑みを交わすことなく常に睨むような顔で接していた。部下でも誰にでも。


 そして翌日、支度が完璧にできたシン達は村から少し離れたところで、村の人達と別れの挨拶を交わしていた。


「じゃあな、ウェイド、レナ、シン。村長として頼りなかったとは思うが、色々聞いてくれて助かった。ありがとう、向こうでも元気でな」


「何言ってんだ爺さん、あんたのお陰で楽しく生活出来たんだ。ありがとうはこっちのセリフだぜ」


「そうよ、村長。私も何度も助けられたわ。ありがとう」


 シンは、軽くお辞儀をする。


「それじゃ、そろそろ時間だから行くよ。じゃあな、皆!」


 ウェイドとレナは手を繋ぐと、2人で何かをブツブツと唱え始めた。


「これは……魔法?」


 2人はの詠唱が終わると同時に地面に魔法陣が現れ、その魔法陣は白く光る。その光が3人を包み込むと、2人はシンの肩を掴む。


「初めて見せるな。これは詠唱魔法と言ってな、高度な精神力と集中力が必要なんだ。さぁ、着くぞ」


「着くぞって……は?」


 シンが視線をウェイド達に向け、そして正面を向き直った時には目の前の景色はガラリと変わっていた。


 村の外に居たはずの3人は、あっという間に大都会へと転移していたのだ。シンはそれを見て驚愕する。それと同時に、この世の魔法の凄さに感動した。


「この瞬間移動は誰にでもできるの?」


 率直な質問をシンは投げかける。


「いや、これは俺とレナが作り出した同時詠唱魔法だ。これを使えるのはこの世界で俺とレナだけだ」


 シンはこの時、自分の親はもしかしたら凄い人物なのかもしれないと思った。


「さぁ、そんな話はともかくだ。ここがこれから俺達が暮らす都市デザルだ。人口は2000万を超える超巨大都市。そしてここが、冒険者の始まりの地でもある」


「デザル……広いな……昔を思い出すなぁ」


「ん? 昔?」


「あ、いや、夢の話だよ夢の!!」


「ん? まぁいいや。とりあえず行こう。ここはまだ都市の外。門でとりあえず審査を受けないと」


「審査?」


「言ってなかったな。ここはこれだけデカいってだけあって、人の出入りも多い。だから悪者や不審人物、変な荷物を持ってないかを見られるんだ」


「そうなんだ」


 門に近づくと人の長蛇の列が見えてくる。この量を毎日審査してるのかとシンは驚くが、審査をしているのはどうやら魔法らしい。


 魔法陣の上に立ち、少ししたら結果が出る。これで見分けが付くのかと疑問も生まれたが、目の前で不審人物らしき人が魔法陣に立った途端、新たな魔法が発動しひかりの輪で拘束をした。


「しっかりできてるんだな……」


「凄いだろ? あれは悪の魔素に反応する。要するに魔物とつるんでいたり悪の組織に加担したりしているとああなるんだ。魔素はその人の行動によって色を変える。黒くなければ基本は通れる」


「へぇ〜〜」


 シンは思考する。あれ? 俺元魔魔王だからやばいんじゃね? と。


 そしてその予想は。


「次の方〜」


「はーい」


「名前は?」


「シン」


「シン……っと。それじゃ、そこに立って」


 シンは魔法陣の上に立つ。すると、ひかりの輪がシンを優しく包み込む。


「あらら、やっぱり」


 予想は的中する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ