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シグラの旅立ち
とある庭の地下で生まれたモグラのお話。
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生まれたばかりのモグラに母モグラが『シグラ』と名付けました。
シグラはスクスク育ち、とうとう親離れの時季が…。
「さあシグラ、自分の巣を造りに行きなさい。」
シグラは昔から失踪を繰り返していたので、まっしぐらに疾走して出ていきました。
「シグラ、もう少し名残惜しんでほしかったわ…。」
母モグラは、嬉しいような悲しいような気がしました。
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シグラは疾走します。
真っ直ぐ、真っ直ぐ赴くままに。
(ボロボロボロ!)
突然拓けた所に出た。
「こ、ここは!?」
見知らぬ穴に出たシグラは中を歩いてみた。
すると、細い尻尾がクネクネと進んでいる。
(パクっ!)
シグラは噛ってみます。
「ギャー!」
齧り付いたまま、勢いよく引っ張られます。
「引っ張られるー!」
すると、とても拓けた所に飛び出しました。
噛み付いていたのは、蛇だと分かり、慌てて土に潜りました。
「危なかった…。」
シグラはホッと胸を撫で下ろし、穴を掘り進んで行った。