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1 婚約破棄された彼を救うのは女帝様

完全に思いつき(^_^;)男の婚約破棄からの女帝様に拾われる流れです。不定期の予定





「シリウス、貴方とは婚約破棄するわ!」


そんなことを言ったのは僕、ローズ男爵家の次男のシリウス・ローズの婚約者である、メリー・アシリア子爵令嬢だ。隣にはここ最近仲の良かった浮気相手のドバイがおり、こちらをニヤニヤしながら見ていた。


場所は学園のラウンジ。皆が注目している中でのこれは所謂公開処刑と言っても過言ではないだろう。


昔から僕のことを毛嫌いしていたメリーは何かと嫌がらせをしてくるが、ここ最近はドバイと結託して僕に対して様々な嫌がらせをしてきた。陰湿なものから始まり、皆の前で僕の評価を落とそうとする妨害工作をするその几帳面さに思わず苦笑してしまうが、どうやらそうやって悠長に笑うことも許されないみたいだ。


「メリー嬢。このような公の場では皆さまにご迷惑がかかります。何卒場所を移していただけませんか?」

「まあ、白々しい。貴方が私に何をしたのかわからないの?」

「皆目見当もつきません」


何しろやられる側なので全くと言っていいほどにわからないが、こうして僕の心をへし折って社会的地位を奪おうとしていることだけはわかった。


「まあ!覚えてないと!私の婚約者のくせに他の女に手を出したことはとっくにわかってるのよ!」

「何の話ですか?」

「シリウスくん。俺はね、ある女子生徒に聞いたんだよ。君に影で性的に襲われたってね」


全く覚えのないことに否定するが、そんなことはわかっていたのか一人の女子生徒を連れきて言った。


「この娘にしたこと忘れてないわよね!」

「いえ、だから知らないですから」

「なんて最悪な男なんだ君は!この娘が可哀想だろ!」


そう言ってドバイが彼女に触れると彼女は怯えながらこちらに申し訳なさそうに見ながら頷いた。多分だけどあの娘を襲ったのは僕じゃなくてドバイなんじゃないかな?ドバイは伯爵子息。しかも悪名高いマスク伯爵家の子息だ。


マスク伯爵家は代々黒い噂が絶えない。綺麗な平民を爵位を盾に脅して妾にしたり、酷いと人身売買までしているという噂があるくらいだ。ドバイはかなり女遊びがお盛んらしいのでおそらくその後始末をするついでに僕を葬るつもりなのだろう。


実際、彼女の様子から僕がやったような空気になりつつあり、もはや味方は一人もいないようだった。


これは未然に防げなかった僕の過失だけど、どうしたものか・・・家には迷惑かけられないし、勘当してもらってからこの娘をなんとか平和な生活に戻れるようにしてあげるしかないか。


そう思って口を開こうとする前にフードを被った女性がこちらに近づいてくるのを見て思わず口を塞ぐとその人はこちらを見てからニヤリと笑って言った。


「なかなか面白そうな話だな。我も混ぜよ」

「誰よあなた?」

「不遜だな小娘。我を誰と心得る」


そう言ってからフードを取り去ってから僕は思わず唖然としてしまう。この世界にはない真っ黒な長い髪にエルフより少しだけ短い耳はまさしくハーフエルフのもの。そして人間離れしたその容姿は女神と言ってもいいくらいに神々しかった。しかし、そんなことより僕は目の前の女性が誰かわかってしまい思わず臣下の礼を取っていた。


周りの人間も気づいたものは皆同じように頭を下げていた。


・・・目の前の二人以外は。


「なんなのよ、あんた。黒い髪にハーフエルフ?そんな半端者が人間様に生意気言ってていいわけ?」

「うーん、綺麗な人だけどこれは俺達貴族の問題なの。引っ込んでて」


ひー!思わず内心でそう思ってしまう。馬鹿だとは思ってたけどここまで無知だとヤバすぎる。そんな僕の内心の悲鳴が伝わることはなく、その方は不遜な言葉に笑ってから言った。


「なるほど、このような下等な生き物がこの世にはいるのだな。無知とは時に罪だぞ?」

「はぁ!?何様よあんた!」

「我が何者か、か。それはこの者に答えてもらおう。のう、シリウス・ローズ」


何故こちらに矛先が行くのかわからなかったが僕はそれに頷いてから頭を下げたまま言った。


「怖れながらこのお方は・・・」

「まて、顔を上げよ。他の者も楽にして構わん」

「恐悦至極に存じます」


噂とは違うあまりにも優しいその方の言葉に顔を上げてから僕は二人に説明した。


「このお方はフランソワ帝国の女帝であらせられる、レイベス・フワンソワ様であらせられます」

「フランソワ帝国?」

「女性絶対主義の帝国です。その頂きに立つお方です」

「ふふ、もっとはっきり言ったらどうだ?我がどう呼ばれてるのかを」


そんなことを楽しそうに言われたので僕は少しだけ迷ってから口にした。


「フランソワ帝国女帝のレイベス様はその手腕で帝国を一気に繁栄させました。そして腐りきっていた貴族を一掃して完全なる独裁制をなし得たことから『恐怖の女帝』と一部で言われております」

「と、言うわけだ。貴様らが我に働いた無礼を我は許すつもりはない。しかるべき処罰をして償ってもらおう。連れていけ」


そうレイベス様が合図をすると控えていた騎士が真っ青になっている二人を連行していった。残ったのは僕とレイベス様と先ほどの被害者の少女だけ。そんな状況で緊張する僕にレイベス様は笑って言った。


「緊張せずとも良い。今日は貴様に用事があっただけだ」

「用事ですか?」

「ああ、そうしたら面白そうな催し物をやっていたからな。参加したまでだ」

「ご足労かけて申し訳ありません。それで用事とは?」

「ふむ、そうだな」


そう言ってからレイベス様は僕を見てからニヤリと笑って言った。


「シリウス・ローズ男爵子息。貴様を我が夫としてフランソワ帝国へと迎え入れよう」












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