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クズだが強いし好き勝手やれる俺の話  作者: じぇみにの片割れ
アルベルト・バーンシュタインその7:地獄の1日

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いきなりピンチなんだが?

 よう、俺だ。アルベルトだ。

 今日は久しぶりに街をぶらついてる。この間まで鉱山で働かされてたせいで全身筋肉痛。それを治すのに時間がかかった……ってわけじゃねえ。そんなものはユラが一瞬で治せるからな。

 ただ精神的な疲労ってやつはどうしても残った。そいつを癒やすためにずっと宿で食っちゃ寝してたってわけだ。


「吾輩に任せればそれも簡単に治せるのだが?」

「私の花粉もおすすめですよぉ」

「ふざけんな。お前らのは調整間違えたら一発で廃人コースじゃねえか」


 花と4号の物騒な提案を拒絶。直接的な洗脳作用のある光や幻覚各種作用のある花粉なんぞやりたくねえ。俺は色んな悪事や違法なことを嗜む多趣味な男だが薬物にだけは死んでも手を出さねえと決めている。薬物だけに。


「……え、それどこでオチてるんですか?」

「ヤクをキメるっていうだろ。それとかけてんだよ」

「びっくりするぐらい面白くないですね」


 俺の隣を歩いているユラが酷評してくる。こいつには冗談のセンスってものがねえ。


「む、そんなことありません」

「じゃあなんか面白いこと言ってみろよ」


 ふくれっ面になったままクソガキが考える。


「えー、アルベルトさんとかきまして『なたご』とときます」

「その心は?」

「どっちもマヌケ」


 座布団2枚分のげんこつをくれてやった。何かと思ったら生卵のことかよ、分かりにくいな。

 その後、意外と1号と2号が上手いこと言いまくってるのを聞きながら通りを歩いていると、路地裏に入っていく女が見えた。10代の多分後半だろう。横から見えた姿だけで胸のでかさがはっきりと分かった。

 そんな女が俺の目の前を通って路地裏に入るってことは誘ってるってことだ間違いねえ。やっぱ精神的な疲労を回復させるには若い女とヤるのが一番。そうだろ?


 ユラに邪魔されないように俺は全力でダッシュ! 路地裏に突入して美少女の後を追いかけた。

 1つ角を曲がったところですぐに視認。髪型はショートボブ、どうでもいい。シャツの胸元がでかい胸で盛り上がってる、最高だ。さらにスカート、野外でヤるための格好。

 完全に俺の獲物だ。向こうは猛突進してきた不審者たる俺を見るなり身構える。

 ……身構えるってなんだ、なんでだ? 疑問が浮かぶがまあどうでもいいか。


「1号、ユラが追いつく前に引っ捕らえろ!!」

「はーい」


 気怠げな女声の返事を聞きながら腰のホルスターから魔導書を取り出して開く。俺の前方に魔法陣が複数現れてそこから漆黒の触手が高速で直進。女を捕らえ──られなかった。


「は?」


 間抜け声が聞こえた。俺の耳に一番近い口、つまり俺の口からだ。

 一瞬。たった一瞬で、そのへん歩いているような格好だった女は鎧騎士の姿となっていた。巨大な盾で触手を弾き飛ばし、もう片方の手にはランスを構えていた。

 完全武装としか言いようがない。しかも触手を弾き飛ばしたってことは盾には何らかの守護魔術がかかってるってことだ。ここで俺の脳裏に電流が走った。つまりさっき身構えてたのは──!!


「何者か知りませんが、襲いかかってきたからには問答無用!」

「こいつ、()()()()()()()()()!!」


 どうやら俺はいきなりハズレくじを引いたらしい。

 弾かれた触手が空中で捻って再び女へと向かう。しかし高速で振るわれたランスがそれらをまたしても弾き飛ばす。

 冗談じゃねえ。1号の膂力は人間が太刀打ちできるものじゃねえぞ。武器にも魔術かけてんのかこいつ。

 ぼけっとしてる俺に女が接近。突き出された盾を後方跳躍で回避。続くランスの刺突を寸前で躱して2突目を触手で防御。やはり触手が弾き飛ばされた。


 やばい。あんなの俺が食らったら壁か地面にぶっ飛ばされて血と肉の染みになっちまう。なんでこんなのと出くわすんだよ!!

 だが俺は慌てねえ。相手の武装がたかだかランスだっていうんなら遠くから攻撃すればいいだけのことだ。


「4号!!」

「任されよ!」


 俺の足元に魔法陣が展開。そこから銀色の球体がせり出してきて俺を乗せる。そのまま俺は空中に逃げようとしたが。


「逃しません!!」


  女のランスによる神速の刺突が4号に命中。金属を破壊するような轟音が響いてランスが4号を貫通していた。


「……は?」

「い、痛いのだ」


 二度目の間抜けな声。4号が魔力の青い粒子となって消えて、俺は地面に落下。尻を強打。

 だが痛みなんて感じてる暇はなかった。4号が破壊された。こんなことは初めてだった。

 こいつらは召喚してるだけだから死んだわけじゃねえ。だが元々は高次元の存在だ、見た目通りの質量や頑丈さじゃない。それを目の前の女は破壊してみせた。

 つまりどういうことかっていうと……。


「え、どういうことだ?」


 俺は独り言を言ってた。頭ん中は真っ白だ。

 いや、つまり、そんな武器がこの世に存在するわけがねえということが言いたい。言いたいが目の前にある。つまりなんだ、これは夢か?

 その夢の武器の切っ先が俺に向けられていた。おいおい、俺は三次元生命体だぞ。高次元生命体を破壊できる武器なんか向けられただけで原子分解されそうな気分なんだが?

 これは抗議の必要があるな。


「あわわわわわわわわわわわわ!!」


 俺の口は全く正常に機能しなかった。当たり前だこんな化け物目の前にして冷静でいられるわけがねえだろふざけんな!!

 命乞いだ、命乞いをしなくてはならない。だが俺の手足は全く動かない。多分神経系がピンチを察して有給休暇を勝手にとったんだろう。ついでに脳もボイコットを始めている。このままじゃ心臓が地面に出張しに行っちまう。


 誰でもいいから俺を助けてくれ!!

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