きはだ様は番人をしております
きはだ様は、森の入り口におわします。
雄雌が別れているので、二本並んでいらっしゃるのです。
くれない様には及ばないのですが、樹齢は300年を数えます。
きはだ様は、森の番人です。
ここから先には、招かれた人しか通しません。
それでもここまで来た人は、満足をして帰ります。
きはだ様も、それは見事な紅葉をなさるからです。
それにやさしいきはだ様は、来た人たちに贈り物をするのです。
匂いが苦手な人もいるでしょうが、みんな夢中で贈り物を拾います。
贈り物を持ち帰った人たちは、それを美味しく食します。
秋の味覚と、喜んで。
たまに、きはだ様の葉を、持ち帰る人がいます。
綺麗な黄檗色の、扇形の葉を。
贈り物を持ち帰った人は、思うのです。
また来年も、きはだ様のところに行こうと。
ですが、お気を付けくださいませ。
贈り物はかぶれることもございます。
贈り物を拾うためには、どうかご準備をお忘れなく。
そこから先は、あなた様の責任でございますから。