宝の番人(3)
二話連続更新したのにこの戦いがまだ終わらないです……申し訳ない。
明日にはきっと……余計なことを思いつかなければきっと終わりますので……。
「っ!」
動かないでと言ったのに……!
……いや、彼女の正確を考えれば、大人しく言葉に従っているはずもなかった。
皆が戦っている。
それなのに自分だけが見ている。
そんな自分の状況を許せないのが、『赤の姫』という少女だ。
>>ホント、一定値以下のダメージは無力化するのに……エレノアだと普通にダメージ入るよねぇ
>>鍛えてますから
>>どんだけ力に振ってるのよ
銃声に紛れ、二人の会話がいやに精確さを伴って耳に届いてくる。
一定以下のダメージは無効……なるほど、それなら確かに、『赤の姫』の炎は無効化されないかもしれない。
要はあの硬い身体を突破出来る威力があれば良いということだろう。
私の鉄針は弾き飛ばされて当たり前の威力だが、彼女の形状変化の炎なら、表面を溶かして内面から燃やすことなんて造作も無いはずだ。
もちろん、彼女はそんなことを考えて攻撃に向かったのではないと思う。
この暗がりで、炎を生み出しても明るくならない環境で、気配も正確に読み取れない彼女が……その辛うじて読み取った先とエレノアが攻撃している方向だけで、突撃している。
このままでは『赤の姫』が攻撃されてしまう……私と同じように壁に弾き飛ばされ、私とは違い何も出来ずぶつかってしまい、全身の骨が折れてしまう――否、それはない。
……それはない? どうして私はそう思った?
何か、理由があるはずだ。
本能で分かっているソレを、必死に分析する。
今回のコレは、先程同じように分かった「エレノアとあおい姫二人がいれば」とは訳が違う。
これを理解するだけで、彼女を守るためのキッカケになり得るはずだ。
再び腕を振りかぶるゴーレム。その振り上げた腕の角度から、攻撃の軌道を予測する。
……ずっと攻撃を続けている、エレノアに向けての攻撃。
単調で鈍重で・一撃一撃が重い。
しかしだからこそ、当たればそれだけで死が確定している殴打。
柱が勢いを乗せて落ちてくるようなものだ。普通の人間なら一溜まりもない。
確かに『赤の姫』は普通の人間ではないが、竜族とて身体は人間だ。角が生えていようとそこは変わらない。
違う。
それは『赤の姫』の情報だ。
今必要なのは、あのゴーレムの情報だ。
何をもってして相手の攻撃が『赤の姫』に向かないと分かったのか……これまでの敵の攻撃は、私とエレノアに向けたものだった。
むしろ、私とエレノアしか狙われていない。
……攻撃してくる奴しか狙わない?
いやそれにしては、最初の一撃は私だったけど、その次からはエレノアしか狙っていないような……。
……攻撃のタイミング……敵が攻撃をしてくるのは、こちらが接近してから……有効範囲に入ってから……そして、攻撃を終え、その後の動作も落ち着いてから、次のターゲットに向けて腕を振り上げている……。
狙いをつけるための条件……いや、そうか……!
攻撃を終え、再び攻撃が出来るようになった時に攻撃をしてきた奴を狙っている……!
絶対にそうだとは言い切れない……言い切れないが、今のところその可能性が高い……!
いや……違う。
そんなのはどちらだって良い。
どうせやれることがない今、私はそうだとして動いたほうが良いに決まってる。
だってその方が、非力で何も出来ない私でも……出来ることが、生まれるのだから。




