表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実ネトゲに異世界人最強を入れてみた  作者: ◆smf.0Bn91U
異世界から来たる『赤の姫』
85/140

暗殺者の戦い

 気づかれた……!? この状況で……!

 この私が、絶対に安全だと確信した、この場面で……!?


 あり得ない……。


 そんな予期せぬ出来事からつい、反応した相手を敵勢と身体が判断してしまい、彼女に向けてその鉄針を投げてしまう。


 闇から闇へ人を殺すことに適合させてしまった私の身体は、咄嗟に、障害となるものを殺しに掛かってしまった。

 殺してしまう……せっかく、『赤の姫』のことを受け入れてくれたのに。




 投げてしまってからの後悔はしかし、エレノアが武器を抜き放ち、ソレを目の前に翳すことで、無意味と化してしまった。




「っ!」

 まるで、見えない壁に阻まれてしまったかのよう。


 ……いや、事実そうだったのだろう。


 あおい姫がよく分からない魔法を使ったように、彼女もまた、こうした防御の魔法を使う存在だったのだ。だから先程の戦いで、魔法を披露することが無かった。

 攻撃されても避けてしまえば、あの魔法を使う理由なんてどこにもない。


「しっ……!」


 咄嗟の攻撃は、当初の音のない移動を妨害してしまう。攻撃動作は消していた気配全てを発露してしまう。

 攻撃だけに意識を向けていたのならこうはならないが、移動を中断してまでの攻撃となると、さすがにそう上手くはいかない。

 だから開き直り、相手の次の攻撃に備え、見られたままの姿で対峙するよう構えを取る。


 エレノアの銃口がこちらを向く。

 その直線状に位置しないよう、身を屈め、さらに認知される敵を増やさぬようあおい姫の視界の端にも収まらぬよう位置取りしながら、次の鉄針をエレノアへと放つ。


 ――同時、銃口から一発の鳴声。


 銃口がこちらを向いていないので、当たるはずもない。

 しかしこちらの攻撃もまた、例の見えざる壁によって防がれてしまった。


「ぐっ……!」


 床を転がり、四肢の力を使って、大きく後ろへと飛んで距離を開ける。

 あの武器の特性上、距離を詰められればこちらが有利になることに間違いはない。

 だがそれでも、私は距離を詰めることが出来なかった。


 だって私には、近接戦闘の技術がない。


 不意を衝いて接近し、一撃で相手を殺すことは出来ても、対峙した相手と真正面から戦うなんてことは出来ない。


 そんなもの、暗殺者には不要だから。

 そうなってしまった時点で既に、暗殺には失敗してしまっているという何よりの証だ。

 不要なものを全て切り落としたおかげで、今の私の強さがある。


 それは理解している。

 そうでなければ今頃、あの突然現れてくる敵に為す術無く殺されていたに違いない。


 しかしそれでも……こうなった時に何も出来ないことに、後悔しないなんてことはない。

 ここで距離を詰められれば良かったのに……そう思わずにはいられない。

 でもそれが出来ない以上、今できることで彼女に勝つしか――って、あれ?


「ちょっと二人共!」「待って! お願いだからっ!」


 ふと違和感に気づくと同時、『赤の姫』から悲鳴にも似たストップが掛かった。


 そうだ……どうして戦う必要なんてあったのか。


 そもそも、彼女を殺さずに済んで安堵すべきなのに……何をムキになって攻撃してしまったのか。

 いくら身体が自然に動くようになるまで訓練したからといって、こんなことは一度として無かった。


 まるで、私が私で無くなってしまっていたような……。


>>リザ、知ってる人?

「知ってるも何も、わたしを守ってくれてた人」


 わざわざ銃を仕舞ってまで手を止めたエレノアの質問に、本当だと伝わるよう『赤の姫』が真剣な眼差しを向けて答える。


>>なるほど……それでさっきまで中々敵と戦わなかったのか……

>>さっき見えた吹き出しもこの人、ってこと


 色々と得心がいったとばかりに呟くあおい姫とエレノアに、私も構えを解いて近づいていく。


「…………」


 ただ何を喋れば良いのか分からず、無言で頭を小さく下げただけ。顔を隠すために目元まで覆っている布のせいで、私のことはさぞ不気味に見えることだろう。


>>姫を影から守る従者のイベント、ってところかな

>>どんなイベント?

>>さあ? そこからは実際に始まるまで分からないんじゃない?


 でも二人揃って、こんな私に顔を見せろなんて言うこと無く、受け入れて、それぞれの会話をし始める。

 その放置感が、今はありがたい。

 いつも通り気を遣っていないことの現れが、少しだけ嬉しい。

 きっと『赤の姫』も同じ気持ちになったからこそ、ここまで付いてきたのだろう。


>>ともかく、見つかった以上は一緒に行動するでしょ?


 あおい姫のその提案に、わたしはコクリと頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ