迷宮の先へ
明日は更新できないです……申し訳ない。
月曜日からはほぼ毎日更新に戻ります。
>>それで、戦闘中に見えた吹き出しってのは?
>>よくわかったね
>>それだけ誤字が多いってこと
意味は分からないが、あおい姫が呆れたのだけは声色で分かった。
>>で、エレノアのそれって、リザちゃんやアイツと同じってこと?
>>そう
>>ってことは、もう一人いる……?
「……あの人のこと、分かるの?」
戦う前と同じ配置に戻り、少し後ろを歩くエレノアへと振り返りながら、『赤の姫』が驚きながら呟くような言葉を漏らす。
「わたし、何も感じないのに……」
>>感じる、とはちょっと違うかな
答えたのは彼女の隣を歩いていたあおい姫。
>>喋ったら見えるの
「見える?」「ん~……?」「それだけ、二人の耳が良いってこと?」
>>……まあ、そんな感じ
難しい説明になるから話すのを放棄した、って感じの答え方だ。
>>で、リザちゃんと一緒に誰かいるの?
「うん」「わたしを守ってくれる、優しい人がいるの」
>>ふ~ん……その人は、姿は見せてくれないの?
「そうしない方が全力を出せるんだって」
>>へぇ~……
>>……なんだろ
不意に、エレノアがボソリつ呟いた。
>>リザの方がよっぽど、あおい姫の外見にピッタリな喋り方してる
>>なんだとぉ~☆
プリプリ、といった可愛らしい擬音でも聞こえてきそう。
『赤の姫』もあんな可愛い笑顔を浮かべられるぐらい、世間に受け入れられてたらなぁ……。
>>だいたい、プログラムとか知人相手にこんな話し方されても鬱陶しいだけじゃないの~?
>>まあ、一理ある
>>だったらそういうこと言わないのぉ~♪
……なんだろ……あのちょっとイラっとする声の上擦りは……やっぱり彼女にあんな喋り方をされるのは困る。
……って、この先ちょっと行ったら行き止まりか……何度か曲がり角はあったものの一本道だったので、結局ここに至るまで彼女たちの前を歩き続けることになった。
それにしても、こんな何もない所にたどり着くなんて……どういった目的で……。
……いや、何やら金色の立体模様が空中に浮かび上がっている。
……これもこの世界特有の技術だろうか。
いや、それともあおい姫が使っていたような魔法の一種……?
黄光の帯が複雑に絡み合うよう描かれ浮かぶその模様に触れてみたい気もするが、何が起きるか分からないものに無警戒に触れる訳にもいかない。
だが……こんなものしかないココを目指してあの二人が『赤の姫』を連れて来たことを思うと、害は無い可能性のほうが高い。
まさか、急に現れた私達を狙っての罠、なんてことはないだろう。もちろん、ゼロではないけれど。
そんな風に色々と考えていると、再び私と彼女たちの間に、ヒュン、と例の敵が現れた。
今度は『赤の姫』と二人だけの時に出くわした包帯グルグル巻きの人間。……あの時は気付きもしなかったが、その大きさはかなりのものだ。大人の男性より一回りも大きい。
これは『赤の姫』やあおい姫からしてみればかなりのデカさになるはずだ。
>>あ、敵
「じゃあ約束通り、今度はわたしの番だねっ」
しかしその大きな体格に隠れた向こう側で、その彼女は怯えること無く元気よく、そう宣言していた。
今までは自分の力を積極的に見せる機会なんて無かったから、それが出来るのが嬉しいのかもしれない。
>>リゼに戦わせて大丈夫?
その声は、エレノアのものだった。
>>やられたら敗北のイベントかも……
>>私もテッキリあの子を守るイベントかと思ったけど、なんか戦えるみたいだし……
そこまで答えた後、あおい姫は言葉を選んでいるのか、少しだけ間が開く。
>>もしそうじゃなくて、戦わせちゃいけなかったとしても、どうせコレは本イベントじゃないし
>>なるほど
>>本当のイベントが始まったら注意したら良いんじゃない?
>>あくまで確認、と
>>そういうこと
イベント……が何を差しているのかわからないが、彼女の実力を見たがっているということは分かった。
だったら、気にせず彼女の実力を見てやってほしい。万一殺されそうになったら私が助ければ良いだけだから、観劇のような気持ちでそこに居ればいい。
だってそれが、今の彼女が望んでいることなのだから。




