表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実ネトゲに異世界人最強を入れてみた  作者: ◆smf.0Bn91U
異世界から来たる『赤の姫』
79/140

話しかける前のお話

 明日更新できないです……遅い上に申し訳ない。

 突然明るくなったことで、視界が白に染められる。


 ただそんな中でもちゃんと、視覚以外の五感で気配を探る。

 目を塞がれた際の咄嗟の対処法だ。

 音・臭い・味・触感……砂を固めたような足元・土塊のような臭い・泥臭い味・固さの奥にちょっとした柔らかさがある触感……洞窟、とは、少し違うような気がする。

 なんというか……自然と出来たような感じがしない。


 そんな感想を抱いている間に、白けていた視界が元に戻ってくる。

 そこに広がる世界は、気配で探ったものとほとんど変わらなかった。


「ん……」


 『赤の姫』も視界が元に戻ったのか、私と同様に周囲を見渡す。


「どこ……? ここ」

「……知らない」

「そうなの?」「私が知らないだけで人間の世界の新しい何かとかじゃなくて?」「こう、瞬間移動的な」

「竜族でもない人間が、魔法なんて使えない」

「それもそっか~……」


 何か納得するように呟いた後、


「じゃ、ちょっと探検してみよっか」


 いつも遠くで見ていた無邪気な笑顔を浮かべて、そんな危険な提案をしてきた。


「危ないから止めたほうが良い」

「だからって、ここで留まってても何もないじゃん」「帰ることも出来ないし」


 ほら、といつの間にか離されていた繋いだ手で指差された先は、私達が歩いてきた方向。そこにはあるはずの出入口が無くなっていて、地面と同じ材質と思われるブロック壁があるだけだった。


「ま、帰れたとしても、あんな真っ暗な所は勘弁だけど」「クロももちろん、ついて来てくれるでしょ?」

「……距離を置いてなら」

「え?」

「イヤとかじゃなくて」


 少しショックを受けたような気がしたので、慌ててフォローする。


「私は、隠れてコッソリ攻撃することに慣れている」「正面から戦う術が殆ど無い」

「あ~……」「だから中々わたしの元に出てこなかったの?」

「…………」


 ここで嘘を吐いた方が、色々と面倒なことにならないと思う。

 でも、吐けなかった。

 あなたを殺しに来た暗殺者だと、言わずに済む、絶好のチャンスだったのに。


「じゃ、これからもわたしを見守ってくれるってこと?」

「……もちろん」「……それに、こんな見ず知らずの場所で一人は、私も困る」

「だよね」


 そう言って、安心を孕んだ満面の笑みを浮かべた。


「じゃ、こっちに――」


 曲がり角の“角”から出てきたかのような位置にいた私たちは、そうして彼女が指す方向へと歩き出そうとして――




 ――その少し先にいきなり、包帯をグルグルと巻いた人間が現れた。




 本当に、急に。

 それこそ文字通り、瞬間移動してきたかのように。

 黄色に輝く“何か”に包まれて、ソレが出てきた。


「えっ!?」


 驚く彼女を後ろに下げ、私は手に握ったままだった鉄針を一本、その首元へと投げつける。

 相手の動きを止めるツボ。相手が躱さず、当たり所さえ完璧なら、その一撃で相手を絶命させることの出来る一撃。


 ソレが見事、敵の急所を突いた。


 その格好から先読みできず、結局そのままの位置にいることを想定して投げてしまったが、どうやら相手も転移したばかりで満足に動けなかったのだろう。そのまま、ズシン、と後ろに倒れた。


 ……ん? いや、それはおかしい。

 脚から力が抜け、段々と血液の巡りが悪くなり、心臓に行き届かなくなって絶命するはず。だからあんな、後ろにいきなり倒れるなんてことは……。


「わ~……さっすが」


 パチパチパチ、と彼女が拍手をしてくれる。

 それがちょっと嬉しくて、こんな疑問後で考えれば良いやと思った。


「でも、この人に話を聞いても良かったんじゃ?」

「……こんな外見の人、信用するの?」「竜族の島では普通?」

「そういえば……見たこと無いかも」


 そうか……ということは、竜族の島、という可能性もない、か……。

 ……まあ、私が教わってきた人間の世界だって、鳥籠の中のようなものだ。私の知らない地域に出ていても何らおかしくはない。


「まあ、いきなり殺しちゃったのは、ごめんなさいだね」


 人を助けるが、人を殺すことに拒絶を示しているような娘ではない。それはずっと見守ってきて分かっている。

 彼女はあくまで好き勝手に、彼女の感性で、助けたい人とそうでないと人を決めている節がある。

 それが危険だという話も分かるが……私が彼女を見守っているのはきっと、その思い切りの良さなのかもしれない。


「……っ」

「ん?」「どしたの? クロ」

「向こうから、二つの足音が聞こえる」


 細長い路に反響するその靴音。警戒を露わにする私に反し、


「あ、じゃあ今度は不意打ちとかじゃないんだ」「じゃあ、話聞いてみよ」


 彼女は本当に無邪気にそう言ってきた。

 ……まあ確かに。会う人会う人殺していては、ここがどこか聞くことも出来ない。怪しくなければ話を聞いてみるのも悪くはないだろう。


 彼女の意見に賛同するように、握っていた鉄針を服の中へと仕舞う。

 それが私の同意と分かったのか、それとも彼女もまたその足音が聞こえたのか、その方向へと駆け足で向かっていく。


 その後を慌てて追いかける……なんてことはしない。

 私はあくまで暗殺者。

 彼女を影から守るだけだ。


>>なんでランダムダンジョン……?

>>そりゃ、ただチャットしてるだけってのもアレじゃない?


 そんな会話が遠くで聞こえる中……その二人が、姿を現した。


 おおよそ旅をしているとは思えないような格好をした二人組。

 蒼い髪と金色の髪をした女性二人組が、向こうの曲がり角からこちらの通路へと入ってくるのが見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ