オフ会の待ち合わせ
“彼”と出会ってからたった二日。
その中で知り合った人たちとのオフ会。
……思えば、オフ会に誘われたことは何度もあった。
しかし当時は小学生で、誘ってきた人も男キャラばかりだった上に、参加費がバカにならなかったし開催地も遠かったので、どうしても無理だったし怖かったので参加してこなかった。
でも今は中学二年生。
その上場所も自分に合わせて近場にしてくれた。
誘ってきたのも女性キャラばかりだし、中の人も全員女性だという話だから、参加に踏み切った次第だった。
……とはいえ、元々自分が陽気じゃないことを自覚している以上、会って良いのかどうかの自信がない。……会うだけなのに自信云々を考えてしまうとはちょっと意味不明だが、それほどまでにネガティブ思考なのだ。
テンマとの決戦から約一週間……七月最後の日曜日、茹だるような暑さをした真っ昼間に、エレノアこと海崎春は、期待と不安と緊張を足して三で掛けたような今にも死んでしまいそうな心持ちで、待ち合わせ場所へとやってきた。
都心から少し離れた県境付近にある駅の中継地点。
ここが最も集まりやすい場所だろうからと、あおい姫が決めてくれた。
その駅を降りて歩いて五分ほどの距離にある大型家電量販店前。そこが待ち合わせ場所だ。
ただ、他の二人が先に着いてる様子はない。
もし待ち合わせ場所に着けばメールで全員に知らせることになっているので、もし先に来ていれば誰かからのメールが届いているはずだったが、それもない。
……ちなみに、春自身はそのメールを送っていない。
というか、単純に忘れていた。
もう頭がいっぱいいっぱいなのだろう。
さっきからソワソワとし、忙しなく自分の格好を確認している。
中学生らしく、お金は掛かっていない。その上派手なものが好きじゃないせいで地味でもある。
大きめのだぼったいカバンを持ち、沢山の花柄をあしらった白のワンピースの上に青い半袖シャツを羽織っているだけ。
子供っぽさが抜けていない。……が、だからこその若々しさからくる良さがある。子供だからこそ子供っぽくていい。そう言わせる魅力があった。
……とはいえ、当の本人はそう思わないものだ。
まして春以外の二人は高校生と大学生。
自分よりも大人っぽい二人がやってくるとなれば、精一杯大人っぽくしようとしても抜けていない子供っぽさが気になって仕方がないのだろう。
元々出不精で家に篭りがちで、歩いていても周りの人のファッションなんて気にしていなかった。今日みたいに気にして歩いて初めて、大人っぽくしたつもりの服装が子供っぽいことに気付いた程だ。
と、不意に着メロが鳴り響いた。
慌てて大きなカバンの底に落ちてしまっていた携帯電話を引っ張り出して、確認する。
星羅からだった。
『エレノア?』
それだけが書かれた文字。
ハッとして周囲を見渡すと、携帯を持った背の高い一人の女性がこちらを見ていた。
……いや、エレノアたる海崎春からしてみれば背が高いだけで、一般的に見れば平均的な身長かもしれない。
ショートパンツに丈の長い少しダボついて見えるシャツを着ている。春と同じちょっと大きなTシャツなのに、方やファッション・方やお下がり感と受け取る印象が違うのは中々に面白い。
手には小さめのキラキラとしたバッグに、足は少しだけ底上げされたサンダル。髪も肌も、少し茶色がかっている。
(お、大人だ……!)
なんて春は思うが、どちらかというとギャルっぽい雰囲気と言ったほうがピッタリだろうか。とてもゲームのようなインドア趣味を持っている人には見えない。
朱縁のブルーライトカットメガネに化粧っ気の無い顔をした春とは違って、バッチリとしたメイクは最早、どこをどう塗ってそんなに綺麗になっているのかすら理解できない。
明と暗・大人と子供・ギャルとオタク女子、といった対比感が凄まじかった。




