決着の時(1)
短くなってしまった…う~ん…でもここが一区切り感があったからなぁ…
私が発動した二つのプログラム。
それは、ティスプレイの表示を本来のプレイヤーへと戻すものと……入力できなかったチャットを入力できるようにするものだった。
「あん?」
それは向こうの世界の住人に聞こえる――彼の耳にも届く言葉となる。
「どういうことだ? お前」
>>は? イベント? っていうかウチのキャラが勝手に動いてんだけど……どゆこと?
テンマの攻撃を捌き、操作共有されている中剣で攻撃を仕掛けながら、彼はテンマのプレイヤーと会話を続ける。
「勝手に?」「なんだお前、強くなったんじゃねぇのか」
>>これってアンタのイベント? っていうかそうだとしてもGMなんとかして!
私にまで声をかけてくるが、生憎と私は次のプログラムを組んでいてそれどころではない。
>>テンマ……?
と、思わぬプレイヤーがオープンチャットへと文字が打ち込まれた。
>>エレノア?
そう。
ストーカー被害者にして、この戦いが起きることになったキッカケの一人、エレノアだった。
>>これどうなってんの? ウチら負けた?
>>一応、まだだけど……
>>何が起きてるの?
>>多分、キャラの乗っ取り
>>リーダー! なんか強くなってるけど!?
最後の文字は『アロースタイル』からのオープンチャットだった。
>>強く? どゆこと?
>>なんか、イベントが割り込んできて、そこからリーダーとあのイベントの男が対等にやりあってて!
対等、というのはあまりにも、テンマを操作してる側が不利過ぎる気もするが。
>>それ、ウチじゃねぇわ。なんか勝手に動いてる
>>えっ!? ウイルスっ!?
>>かも。でもGMからは一回連絡あっただけでそこからは無言だし……これもイベントの一環?
>>キャラが勝手に操作されるのが?
>>うん
>>んな無茶な
>>だよね~……
追撃を止めているエレノアに気付いているのか、『アロースタイル』の彼もまた足を止めてテンマとの会話に集中している。
「なるほどな」
その会話を聞いて――テンマの言葉だけを聞いて、彼は察した。……察してくれた。
「要はお前、操られてるのか」
それは私が、テンマのチャットを復活させた理由の一つ。
彼に、テンマが見知らぬ誰かに操られていることを悟らせるために行ったことの、一つ。
「だったら」「俺がやるべきことは一つだな」
そう言うと、中剣を二本共テンマに向けて投げ捨てる。
片方を握っていてこそ効果がある魔法をかけておいて、その武器を捨てる。
せっかく押していたのに。
その時間差で投げられた二本が弾かれている間に、彼はもう一つの自分の武器を抜く。
この世界に来てからまだ一度しか抜いていない、中剣二本を差しているのとは逆の腰に差してある武器。
モンスターに向けて振るったことのある、その長剣を。
両手で握って、構えを取る。
武器は一つになったが、これで間合いはテンマとほぼ同じ。
違うのはただ、彼のほうが不利になったという点だけ。
……間合いだけを見れば。
「ふっ……」
そうして彼が構えを取っている間に、私が組んでいたプログラムをテンマはあっさりと無力化した。
最早飛んできた中剣を弾く程度なら、私のプログラムを邪魔しながらでも行えるということだろう。
段々とコツを掴んできている。
だがそれも……もう終わりだ。
「いくぞ……」
なんせ彼は――
――長剣こそが、本来の武器なのだから。




