ギルドルームでの会話(3)
明日はちょっと更新できないです
>>私がこのゲームを始めたのは、現実での友達付き合いが上手くいってなかったから。せめてゲームの中でぐらい友達が出来たら良いな、って思って初めたの。
>>ネットでMMO探してる時、服を作れるのとか、キャラメイクの豊富さとか、そういうのに惹かれて始めた
>>でも初めて、行き詰まって、勇気を出して街中でオープンチャットで聞いた時、攻略Wiki見ろって一蹴されて……その時に挫けそうになった
>>でもそれでも、なんとか続けて、キークエストと派生クエスト終わらせて、Lvが100を越えたところで、ランダムダンジョンに潜るしかなくなって……その時にまた勇気を出して初めて、掲示板からパーティに入ったの
>>その時一緒に冒険したのが、テンマだった。
次々と、メッセージが投下されていく。口を挟む余地が微塵もない、エレノアの言葉が続いていく。
>>その時から、テンマの方がLvは上だった
>>初めてパーティを組んだ私は、チームとの連携も上手くいかなかった
>>そのことに、パーティを組んでいた人が怒ってきたの。同じぐらいのLvだったけど、多分二人目だったんだと思う
>>そんな時に庇ってくれたのも、彼だった
>>初めてパーティ組んだ人なんだろ、って
>>それならそうと言うべきだって言ってきたその怒ってきた人にも、それすらも分からない人だっているって、私の代わりに言ってくれた
>>だから私は、遅いながらも、ランダムダンジョンが終わってから、お礼を打ったの
>>……それから、私のことを気にかけてくれるようになった
>>私が声をかけたら応えてくれて、適正レベルじゃないのに一緒にランダムダンジョン潜ってくれて、私が初心者だって組んだパーティの人に言ってくれて……とても、嬉しかった
>>それなのにどうして、相手の方がストーカーになるのよ
あおい姫のそのツッコミは、このメッセージを読んでる人全員の疑問だった。
>>……私が、テンマに惹かれてしまったから
>>?? 意味が分からない
>>テンマは強かった。私も強くなったら、テンマみたいになれる。そんな勘違いをした。だから……PvPで優勝しようとした。PKエリアに入り浸って、戦い方を必死に学んだ
学んだ、とエレノアは簡単に言うが、そんなことは年一回のPvPに出る人は誰でもしてることだ。
つまり、周りと同じことをしていないのに、彼女は優勝したということになる。
>>テンマもinしてる時は一緒にランダムダンジョンに潜ってレベルを上げて、それ以外はPKエリアに入って……気付いたら、こんなLvになってた
>>プレイ年数は何年なの?
>>……中学入学した時に始めたから、今二年目
>>ちょっ
>>ん>
おそらく、星羅の言葉に対して疑問符を打ちたかったのだろう。ただ打つ際になって自分がしでかしたミスに気付いて焦ってしまったのか、すぐ隣のキーを押してしまったに違いない。
>>そっか……今年のPvP優勝者のエレノアちゃんは、中学二年生なのか……
>>こ、このことはだれにもしわ¥ない[dkuaiaoa
>>焦らない焦らない。誰にも言わないから。
動揺が文字に現れている。
>>とりあえず、半角とか[Caps Lock]の解除とかして、話し続けてよ
あおい姫に宥められ、とりあえず文字のコピペを再開し始めるエレノア。
>>テンマも入ってる時は一緒にランダムダンジョンに潜ってレベルを上げて、それ以外はPKエリアに入って……気付いたら、こんなLvになってた
>>聞いた聞いた。ほら、落ち着いて落ち着いて
>>それで、今年の年度末の三月に行われたPvPで、私は優勝した。その時にテンマとも戦った。彼は、別の月に予選を勝ち抜いてたから。
四月~翌年の二月までの毎月第一土曜日に行われるPvP予選。
ここで優勝した者だけが出場できる三月のPvP本戦。
それの優勝者を、一般的にPvP優勝者と呼ぶ。
周りの人がエレノアをそう呼ぶように。
>>それで、勝って、優勝したのは、私だった。その時に、彼に言われたの。卑怯者って
>>なるほど……話が見えてきたわね
>>私は、言ってしまえば彼に付き添っていた。ずっと一緒に居て、アイテムもらって、相手の好意に依存し続けて……卑怯って言われても仕方がないことばかりしてた
>>それから付きまとわれるようになったのね
>>え、それって完全な逆恨みじゃないですかっ!?
星羅の驚きは最もだった。
>>それから、リアルでも会いたいって言われるようになって……
>>現在に至る、と
>>っていうか卑怯ってなんですかね。向こうが勝手に貢いでたのに!
エレノアが中学二年生と知っても敬語を続ける星羅は、もしかしたらもっと下なのか、それともタイミングを逃しただけなのか。
>>一応、後で冗談とは言われたけど……
>>まあ、場を気まずくしないための方便みたいなものよね
それから、話が一区切りついたような間が開いたあと、
>>それにしてもエレちゃん、私達のこと信じてくれたんだ
向こうのディスプレイでニヤニヤしてそうなあおい姫の言葉が、チャットウィンドウに表示された。
>>信じた訳じゃない。でも、いい加減誰かに話したかった。だって私には、友達がいないから
事前に準備していた言葉なのか。スルりと、チャットウィンドウに表示された。
>>誰でも良かった。聞いてくれそうなのがあなた達二人だけだった。だから話した。それだけ。
だけどその一言には、再び間が開いた。
それが、話したかったのにずっと話せなかった、エレノアの苦しみを表現しているような気がして……。
>>それじゃあ、なんとかしましょう!
ずっと聞き手に回っていた星羅が、そう提案したのも当然といえば当然だった。
彼を倒したいのか、純粋な親切心なのか、ただの成り行きなのか……そのどれであろうと、どれでなかろうと、そう言ってしまうものだろう。
>>ストーカー問題を解決して、気にせず楽しく、このゲームを楽しめるようにしましょう!
>>そうね。それでもっと友達増やしたら良いじゃない。服作ってたのだって注目浴びるためでしょ? それを見せびらかしましょ
そしてそれに、あおい姫が同調した。
>>……ありがとう
ぶっきらぼうで簡素な文字が、まるでエレノアが小声で言ってそうな気がして、妙に印象に残った。




