次の出現点
……さて……そんなこんなで女の子三人が成り行きでパーティを組んでる中……さり気なくその中心に据えられている彼はというと……。
実を言うと、例の星空の海に囲まれた砂浜へと戻ってきていた。
負けた訳ではない。
ただただ処理落ちが酷すぎたので、彼も含めた全員を強制的に街へと転移させたのだ。
さすがに、死んで街に戻ったやつがまたやって来て……を繰り返しだした時は、そろそろ止め時かと思った。こうした処理落ちについては考えなければならないな……。
人が集まる街などはスキルを使えなくしているのでサーバー的にも負荷は掛からないが、戦闘フィールドだと周りはどんどんとスキルを使ってくるし、何より通常攻撃のモーション表示だけでも結構重くなってしまう。
ただのモンスターが相手なら今回みたいな二十人程度の一斉スキル発射ぐらい訳ないのだが……彼自身のデータ量も多いから、どうしても重くなってしまう。
こればっかりは次のメンテに向けての課題、か。
「で、俺はどうして戻されたんだ?」
「あのままだと相手に不利になるからよ」
「どういうこった? 俺は一人だぞ。あのまま物量で攻め込めた状況だろ」
なんだろその「負けたがってる」みたいに感じる言葉は。
「かもしれないけど、アイツ等にチームワークなんて無かったでしょ」
「だが、俺は強い。それならいずれ手を組もうって話になったはずだ」
「ならないんだなぁ、それが」
「は?」
「言ったでしょ。この世界は戦いたがってる人ばかりだって。自分で手柄を立てたいのよ。あなた自身が言ってる通りあなたは強い。で、そんなあなたを倒せた、ってなれば、それだけ自慢になるし功績になる。その手柄取りよ」
「は? 普通チーム全員の手柄になるだろ、それなら」
「そう考えられる人はチームを組むけど、そう考えられない人は漁夫の利ばかり狙おうとするのよ」
パーティで倒してもパーティ全員のLvが1上がることは、イベント告知にしっかりと載せている。
ただそうした理屈とは別のところで、一人で狩って自慢したいだとか、周り全員が狙ってる中でトドメを刺してドヤ顔したいとか、そんな抜け駆け的なことを考えてしまう人が多いのもまた事実。
これも学生ばかりの所以なのかもしれない。
なんていうか、自分だけ特別でありたがってる、というか……。
まあ、中には「自分の腕じゃ周りに迷惑をかけるかも」って考えのもと、ソロプレイに徹している人もいるのだろうが。プライベートでの私みたいに。
「ま、そういうことなら仕方ねぇか。妖精さんの言う通りにするさ」
「ありがと」
「なぁに。さっきの戦いは確かに不完全燃焼で終わったが、それでも確かに戦えたのは事実だからな。ただまあワガママを言うんなら、エレノアみたいに強いやつと戦いたいもんだ」
「それって、一対一で戦えるほどの相手ってこと?」
そうなると本当に一握りしかいなくなりそうだな……。
「違う違う。大人数でもいいが、あれぐらい手応えがありそうな奴ってことだ。そういう意味じゃあ、さっき集団に囲まれる前に戦ってたアイツは良いな」
星羅のことだろうか。
「さっきは一対一だから手加減してちょうど良かったが、アイツが機能するチームと戦ったらちょうど良さそうだ」
う~ん……その場その場で掲示板のパーティに入ってるだけでギルドにも入ってないみたいだったし、ちゃんと「プレイヤー相手を想定した集団戦」を練習しているメンバーなんて居無さそうだけど……。
「一回目の時もイマイチ足並みが揃って無さそうだったが、それでも手加減してたら負けそうだったしな。いい感じに強そうなんだけどな」
「……聞いてるとホント、あなたは負けたがってるように聞こえる」
「負けてしまいそうになるほど、肉薄した戦いがしたいんだよ。せっかく余裕な敵を相手するのは飽き飽きしたからこの世界に来たんだしよ」
まあ、確かにその通りなんだけど……。
「で、次はどこに送ってくれるんだ?」
「そうねぇ~……」
最もLvが高いプレイヤーがいるエリアである火山にでも送り込んで上げたほうが良いだろうか。あそこならランダムダンジョンのモンスター相手の戦闘しかしていないプレイヤーであっても、それなりに強そうなイメージがある。
それに……例のよく分からない掲示板の書き込みもある。
別の所に彼を送り込んでも、再び掲示板に書き込まれるかどうか……それを確認してみるのも悪くない。
「じゃ、それなりに強いやつがいる可能性が高い人の所に送るわね」
「おう、頼むわ」
掲示板を別ウィンドウに立ち上げ、既に立ち上がっている彼の居場所スレに何か書き込まれればすぐに告知が出るよう設定し、ついでに新スレッドが立ち上がっても同様の反応が出るようにして、彼を火山のフィールドへと送り込んだ。




