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現実ネトゲに異世界人最強を入れてみた  作者: ◆smf.0Bn91U
MMO「ラッキー・スター」と異世界の傭兵
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鼠との出会い

 何度も巨大な蟹に襲われながらも洞窟を出ると、そこは海底だった。


「うおっ!」


 突然の水の中という環境に驚き、彼は慌てて息を止めてしまう。が、すぐさま呼吸出来ることに気付き、止めた分を吸おうとばかりに大きく深呼吸し始めた。


「……あのテレポートの魔法のおかげか?」


 いや、ただ単に酸素というシステムがこのゲームに実装されてないだけで……まあ良いけど。


 それにしても気になるのは、そうして一瞬慌てた彼を、エレノアがジッと見ていたことだ。

 いや、厳密には本当に見ていたかどうかはわからない。

 キャラの顔の向きは、出てきてすぐの真正面を向いていたままだ。

 ただ、止まっていた彼が動き出すと共に動き出し、止まっている間に何か言葉を打っていたような感じが見受けられなかったから、そう思っただけだ。


 人魚やポセイドンを模したモンスターが出てくる、サンゴや海底岩で仕切られた道を、彼が先頭に立って進んでいく。

 自然と、前衛に立つのは彼のほうが良いと互いに判断しているが故の陣形だろう。

 しかし例え囲まれようと気にした様子もなく、二本の中剣を持ち、相手の攻撃を避けて防ぎながら、迫る全ての障害を彼は一撃で屠り進んでいくため、ソレに意味があったかどうかは分からない。


「ふぅ……」


 息を吐くが疲れている様子はなく、むしろその表情は晴れ晴れとしていて楽しそうだった。


「そういえばよ」


 アクティブモンスターしかいないエリアのせいで、次々とモンスターが襲い掛かってくる。

 しかし襲いかかるスピードよりも倒すスピードの方が速いせいか、別段手こずっているようにも見えない。


 いや、現に手こずってなんていないのだろう。

 前を歩き、モンスターが出れば真っ先に盾になるように前に出て倒し、終えればまた後ろを歩く。

 そこまでする余裕があるから、モンスターの攻撃を捌きながらも、エレノアに話しかけているのだ。


「さっきの話の続きをしてくれよ」「魔物の相手は俺一人でも大丈夫だからよ」

>>……いや

「なんで?」

>>ここだと、見られるから


 ……が、まあそう言われると思っていた。


「見られる?」


 彼は分かっていないが、彼との会話は全てオープンチャットで行われている。

 オープンチャットとはつまり、そのフィールドにいる全員に話しかけるようなものだ。

 そんな場所で自分のことを話すはずもない。


>>ともかく、イヤ

「そうか……まあ、仕方ねぇか」


 その後は、前を歩くエレノアの後を無言で追いかけていく。

 もちろんモンスターが出たら、積極的に彼が倒している。


 エレノアには何の経験値も入らないが、そもそもキークエストを全て終え、レベルが200を超えている彼女にとって、こんなフィールドにいるモンスターの経験値は本当に微細だ。入ろうと入るまいと気にもならないだろう。

 それにエレノアとは違い、彼ならば通常モンスターであろうと「CRITICAL!!」による一撃死が発生する。通常攻撃を何度も当てなければいけないエレノアよりも、断然早く片がつく。


 だから思いの外あっさりと……それこそ全てのモンスターを素通りしたかのような速さで、海底洞窟から最も近い街についた。

 海底都市……というよりは、海底村、だろうか。建物が三件ほどあるだけの小さな村。

 しかもその内二件はアイテムを売ってくれるただの店ときた。


 それもそのはず。この村は謂わばイベントとランダムダンジョンの入口としてしか利用しない村だ。

 彼とエレノアがやってきた洞窟奥の海底花畑でキークエストをこなし、この村の奥にある神殿で発行してあるフリークエストをクリアすれば、ようやく同属性別スタイルのスキルを覚えられるようになる。

 ある種重要性の高いイベントを備えている“だけ”の村でしかない。


>>依頼はここまで

「おう、ありがとな」

>>これでもう、私には付きまとわない

「しゃあねぇな。約束だしな」


 とても諦めたようには聞こえない、何か考えがあるようなニヤつきながらの言葉。

 だがそんなもの、吹き出しの文字で見ているエレノアに分かるはずもない。しかも彼のことをイベント用のNPCだと思っているなら尚更だ。


 これでイベントの追加クエストは終わり。

 エレノアはそう思っているのかもしれない。


「でもな」


 と、彼が何か言うために口を開――




>>エレノア久しぶり~




 ――こうとしたところで、そんな文字がチャットウィンドウに表示された。


「あん?」


 彼は後ろを――エレノアの視線を追うようにして、振り返った。


 するとそこには、一人の男性キャラが立っていた。


 ピンと張ったような尻尾を思わせる髪型をした、全体的に白い印象を与えるキャラ。

 白い髪に白に近い肌、所々に紅のラインが入った白い軽鎧を身に纏った、ネズミ耳のその男性キャラは、


>>元気だった? フレンド拒否してるから連絡取れなくて困ってたよ~


 その男キャラは、言葉で見ても明るく聞こえる口調で話しかけながら、こちらに近づいてきた。

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