表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実ネトゲに異世界人最強を入れてみた  作者: ◆smf.0Bn91U
異世界から来たる『赤の姫』
100/140

歪な同行人

 という訳で、明日更新できない分のもう一話です。

 本音を言うとコレでキリが良くなるのでちょうど良かったです……。

 となれば、ここで嘘をつき、私の信頼を失くすことは、彼をこの異世界へと連れてきた妖精をも裏切ることになる。

 それぐらい彼も分かっているだろう。

 となれば、嘘をついている可能性は極端に低い。


 それに何より、ここで抵抗する理由の方が無い。


 もしここで、私が無理をし、自らを犠牲にして彼を殺したとしても……彼の言う異世界と不死性が本当だった場合、私だけが無駄死にすることになる。

 もちろんそうさせないための嘘である可能性もあるが……彼ならば周囲を巻き込む私の自害を無力化することぐらい、訳ないだろう。

 それこそ、武器が失くなったことを瞬時に察し、私の手足を切り落とすぐらいは平気で出来たはずだ。


 さらに言えば、私がここでこの提案を拒絶する理由も殆ど無い。

 もし拒絶し、一人で『赤の姫』を探すことになれば……慣れない場所を一人で彷徨うことになる。

 彼のほうが慣れていることを思えば、私一人で彼女を見つけることの方が、圧倒的に難しい。

 例え彼女たちもまた、私を探してくれていたり、外で待っていてくれようとも。


「……分かった」


 でも……それでも、留まりたい理由は話せない。

 もしそんなことをすれば、『赤の姫』がどういった目に遭ってきたのかまで話さなくてはいけなくなる。


 そんなのはゴメンだ。

 完璧に相手を信用するなんてこと……してはいけない。


「私がこの世界に留まりたいのは、あの子を守りたいから」


 だから、嘘をつく。

 真実を織り交ぜた嘘を。


 ……いや、もしかしたらこれは、私の本質なのかもしれない。

 元の世界に戻りたくないから、この世界に留まりたい……それがどうしてなのか、と問われれば、それはどうしても「『赤の姫』を守りたい」に行き着く。


「そうか……」「つうことは、あの子次第で元の世界にも戻るってことか?」

「…………」


 それには、答えられなかった。

 そればかりは……実際に彼女に言われてみないと、分からなかったから。


 私自身は戻したくないけれど、彼女が戻りたいと言ったなら……私は……。




 ……どうするの、だろうか……?




「……ま、そこまで聞くのは野暮か」


 追求を止めたその姿を見て、もしかしたらさっきの質問の答えで、私の本質と自分の本質がどこか似てる、と、この男に私と同じことを思わせてしまったのかもしれない。


「んじゃ、約束通り、あの子を探すのに協力するよ」「というわけで、コレを」


 そう言って、自分が着ていた外套を、私に投げつけてくる。


 真っ暗なこの部屋の色を溶かし込んだかのような黒の外套。

 咄嗟に受け取ったそれは、それなりの重量があった。……が、まあ着る分には、私の速度を阻害するほどではなかった。


「……なに?」「これは」

「外套だよ」「ほら、ここの出入口が無くなってんだろ?」


 言われても、この暗闇では黄光の帯なんて見えないが、嘘をつく理由なんてないので事実なのだろう。


「外に出るためにも、妖精の手が必要でな」「とりあえずはそれ着てくれりゃ大丈夫だからよ」

「……なんか匂う」

「男の旅の服だ」「当たり前だろ」「それに、服の中に何本か短剣を忍ばせてる」「武器使い切ってんなら使ってくれ」「外は危ねぇからよ」


 そこまで言われれば、着ない訳にはいかない。

 外に出れないのでは話にならないからだ。


 何より、こうして武器が手に入ったのもまた大きい。

 短剣なんて使ったことはないが、投げることも造作ない代物だから私に勧めたのだろう。




 そうしてバサリと羽織ると同時――私の意識が、急に途切れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ