1日目
2010年代、在沖縄米軍基地問題は無責任な宇宙人の発言によって岐路に立たされていた。その最たる例が普天間基地である。特に左翼系のグループに煽てられた沖縄県知事が当選するにいたり、その亀裂は決定的となった。
沖縄県庁知事執務室...
沖縄県庁のそれなりに見晴らしのよいところに設けられたここは今では怪しい集団の巣窟となっていた。大抵の人物が舌先三寸ではあったが、知事のお気に入りであった。
「今日の県民大会で、独立を宣言する。準備は抜かりないか?」
「もちろんです。日本の国防軍の目も、他に向いています。我々の計画は漏れてはいません」
問いかけられた男は表向き、反戦を訴える政治団体のリーダーではあるが、その実は中国人民解放軍の特務機関に所属する。ただこの男は、口は巧くても、如何せん防諜には素人で、そこが警視庁公安部をはじめとする公安警察の付け目であった。
知事の周辺で不審な動きを察知した警視庁公安部は公安調査庁や防衛省情報本部、情報保全隊といった機関と連携して調査を進めていた。その計画も筒抜けである。結果、沖縄の独立の際に国防軍、在日米軍含む日本の国有財産は既に九州といった日本本土に疎開していた。施設に関しても民間人がオーナーとなっているダミー会社に所有名義が変更されている。
「独立宣言を発表してくる。後は手筈通りに頼む」
「仰せの通りに」
恭しく礼をする男に、知事は機嫌よく出ていった。知事の姿が見えなくなると、部下に命令を出した。目標は沖縄県下全域にある武器及びそれに相当する物品、軍の所有する施設及び土地の接収である。
沖縄県民大会に向かう車中で知事は機嫌が良かった。そうして到着した会場に入った。壇上に上がった知事は挨拶もそこそこに独立宣言を切り出した。
「沖縄県は只今を以て独立を宣言する。」
この一言に対しての、反応は薄かった。
「今後の日本政府による外交、国防その他への干渉は許されない。以上」
ここで、全員の理解が進んだのか、賛否両論、三者三様の答えが返ってきた。壇上で次の展開を考えていた。
(日本の干渉を防ぐためにも、早急な軍備、兵器の装備が必要だ。国防軍の兵器がどれだけ接収できるか)