小説を書いていてよかったと思うこと
小説を書こうと思ったきっかけは、今になって思うと……ズバリ中二病だったのだろう。
悪魔とか最強とかそんなワードに心が躍り、ザケルやかめはめ波が出せるんだと半分本気で信じていたあの頃。頑張ったところでそんなの出るわけもなく、僕はそんな妄想を物語に書こうと思った。
あの頃の未熟な僕は結局のところ、その頭に描いた妄想を文章という形には出来なかった。だけどそのまま、物語を書きたいと思ったあの頃の気持ちは、あれから何年も経った今だって、ずっと胸の奥で燻って想いを滾らせ続けている。
あの頃に、思いついた話が書けないままで何年も過ぎた頃のことだった。大学に進学した僕は、今まで通りの体育系の部活を選ばずに、部ではない小さな文芸をするサークルに思い切って入ってみた。人に見せるようなものを書いたり、人の創作物を読むようなことはなかったからドキドキした。
先輩や同級生は、僕の書いた小説の良いとこも悪いところも言ってくれた。面白いの言葉をもらった時は嬉しかった。感想をもらった時は、僕の言葉なんかで人の心を動かせることができたのに驚いた。今まで碌な小説を書くための知識をもっていなかった僕には先輩方のアドバイスはとてもありがたかった。話し合いや意見交換は知識になった。
書いていくうちに、書くことへの色んな楽しみや良さを見つけることができた。
ノートや課題だからと嫌々書いた感想文と違って、小説は人に読んでもらう為に書く文章だ。だから、「こんなこと書いたら読者はこんな感想を持つだろうな」とか、「この展開からどうもっていけば人を楽しませられるか」とか、「どのようにすれば自分の意図を伝わるようにできるか」など人のことを考えるようになった。
もちろん、逆にそうして読者の思惑に踊らされては、読者の上はいけないと思うので、自分の考えというものも、同時にしっかりと持つようになった。
僕はこうして小説を書くことを誇りに思っているし、自分の為にもなっている。
今一番良かったと思っていることそれは……。
履歴書やエントリーシートを書くことがそれほど苦痛には感じないこと。
小説に何千何万文字も文字を使っていたら、履歴書のあれぽっちの空欄なんてそれだけって思ってしまう。
趣味や特技をこんなにも誇らしく感じられる。
相手に自分をどう伝えたいかの方法が、何となくでも分る。
いいこと尽くめだ!
今も僕はこうして文章を書いている。就活中という忙しい身だけど、書く時間があまりなくても考えている暇ぐらいはある。書く前から書くことを決めているから、少ない時間でもさっさと書けば事足りる。
なあに、どうせ何万文字もかけて書くつもりはない。だから書き終えられる。そしてきっと暇さえあればすぐにでも書こうとするのだ。
でも就活が終わろうが、社会人になろうが、きっと僕は書き続けるだろう。
一に、誇らしいから。
二に、書きたいから。
そして三に、
書くことがこんなにも好きなのだから。
辞められるわけがない。