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テヌト投稿
目が覚める。
あたりは暗闇で何も見えない。ここはどこだろうか、自分は誰だろうか。意識がはっきりして行くにつれて混乱してきた。
自分は、、、
自分の名前は山岸優、昨日は学校が終わって帰ってゲームして寝たはずだ。
しかしどう見てもここは自分の部屋ではない。地面は土の感触だ。微かに風も感じる。
ふと気づく
体の感覚がおかしい。フサフサな毛の感触がする。体の形も人のものでは無さそうだ。
試しに声を出そうとする。
「にゃ」
今のは自分の声か?
明らかに猫の鳴き声だった。頭を手で撫でてみる。頭上に二つの耳がある。
暗くてよく分からないがどうやら自分は猫になったようだ。
優は一瞬の間を開けたあと一つの結論に至る。
「(夢だこれ)」
遠くを見れば頭上に光が見えた。とりあえず明るいところへ行こう。
土の斜面を登って行く、進めど進めど光に近づくことが出来ない。光は随分と遠くにあるようだ。
そのまま進み続ける
だんだんと気分が悪くなってきた。頭が痛い。それでも進む。後ろから何か嫌な気配がする。その不安感が優の足を進ませた。
体の感覚がおかしくなってきた。体を動かそうとしても体の動きが思った通りにならない。それでも進み続ける。そのまま麻痺した体を引きずるようにしてどれほどたっただろうか?1分?1秒?1時間?、時間感覚すら曖昧になって行く。
そして優の体は進めなくなった。
前足を動かそうとしているのに後ろ足が動く。後ろ足を動かそうとすると背中がのけ反る。背後からの気配が近づいてくる。感覚と実際の動きが乖離する。それでも前に進もうとする。体がまともに動かないことへのパニックよりも、背後の気配に対する恐怖が勝る。逃げようとジタバタとその場でもがき続ける。頭痛が酷くなってきた。吐き気もする。そのまま意識が遠のいてゆき、優は気絶した。
優が気絶したその後、背後から優に近づく1つの影があった。
「猫?」
ーーーーーーーーーー
優は目を覚ます。
辺りを見渡すとどうやら家の中に居るようだ。家というよりは小屋のような大きさだ、木製のテーブルと椅子がある。優は木製のタンスの上で布の敷かれたバスケットの中で眠っていたようだ。
その様子は正に猫である。
寝て覚めても自分の体が猫である事を確認して、優の中にあった疑惑が確信に変わって行く。やはりこれは夢では無さそうだ、だが不思議と落ち着いている。それに元の世界の事を思い出そうとしても霞がかかったように思い出せない。こうなると元の世界の記憶が夢の中の出来事のように思えてくる。
優は頭を振って現場の把握に努めようと意識を切り替えた。
すると部屋のドアが開き黒髪の人が入ってきた。
中性的で綺麗な顔立ちだ、歳は10代後半から20代前半だろうか。
その人物は優がおきていることに気づくと優の頭を撫でる。そして優の前に椅子を持ってきて座ると、唐突に喋り出した。
「君はどうやらヒトと遜色のない知性を持っているようだけど、どこから来たんだい?」