探索報告書 1
「………」
鏡の中の僕は、僕の記憶に干渉することができると言っていた。だったらさっきとは逆に記憶を忘れさせることもできるかもしれない。
「だったら書いていた方がいいよね」
オフィスらしき部屋に戻ってきた僕は重要そうな書類に紛れていた白紙の紙にペンで今知っている自分の情報を描く。
~メモ~
名前 【城崎 恋】
ID 0002
生年月日 5月5日
ものすごく簡単なメモだけどこのぐらいしか書けないな…
「そういえば…」
まだ血が飛び散っていたロッカーを開けてなかったことを思いだした。
「もしかしたら何かしらあるかも…」
そう思って僕はさっきの部屋に戻り、1番右のロッカーを見上げる。
【0006】
うっすらと上の方にそう書いてある。隣を見ると【0005】と書かれているのを見るとこの6つのロッカーはそう言うことなのかな。だとすれば…
「ここだよね」
左から二番目【0002】と書かれているロッカーを見上げゆっくりと開ける。
すると中には白衣がかけられていて、上の方にいくつかのファイルとカラーペンが入っているが届きそうにない。だけど扉についているネットにも何やら封筒が入っている。
「?」
ネットに入っていた封筒を手に取ると『城崎 恋へ』と小さく書かれていて、封が開けられた痕跡がある。
「僕あての手紙…ってことはやっぱりこのロッカーの番号はIDで区別されてそうだね」
封筒を開けると中から1枚の手紙が入っていた。
~手紙~
なあ恋~
今度所長の誕生日だろ?そん時にみんなで誕生日パーティーをしようってことになってさぁ~
悪いんだけど買い出し頼んでいいか?
お前なんだかんだ言って所長と仲良かったじゃねえか…だから頼む!俺はどうしても次の実験の準備が入っちまっててな…まぁサプライズってことで所長には上手いことごまかして許可もらってるから!買い出しは所長の誕生日の1日前な?所長の誕生日は…ってお前に言う必要はねえな。お前のパソコンのパスワード所長の誕生日だもんなw え?俺も変わらないって?そんなことはねえだろ…
とにかくだ…買い出し頼んだぞ!!
夜桜より
「仲が良かったのかな」
手紙なのにまるで直接話しているみたいな描き方からそう感じる。
「パソコン…って多分最初の部屋のやつだよね…誕生日がパスワードなのかな」
僕はその手紙を持ったままロッカーを閉め、ほかのロッカーを見渡す。
「ほかのロッカーも見てみよう」
僕はこの部屋の探索を本格的に開始するのだった。
か